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泣く子も黙る感染対策(24)

[第24回]新型コロナウイルス感染症対策1年間の経験則

坂本史衣 さかもと ふみえ
聖路加国際病院感染管理室マネジャー

(初出:J-IDEO Vol.5 No.1 2021年1月 刊行)

はじめに


 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が発生して約1年が経過しようとしている.筆者が勤務する病院では1月以降,900名以上の疑似症を含むCOVID-19患者を受け入れてきた.今回はこの1年を振り返りながら,COVID-19対応を行うにあたり「これが役に立った」という(科学的根拠に基づく)経験則をお伝えしたい.創意工夫によって,他にもやり方は幾通りもあるだろうが,一つの施設の例として参考にしていただければと思う.

❶ 感染対策を構築するうえで抑えておく必要があるCOVID-19の3つの特徴

 主要な感染経路は飛沫感染である.接触感染もあり得るが,飛沫感染に比べると起こりづらいとされている.換気の悪い空間では空気を介した感染のリスクもある.医療機関ではエアロゾル産生手技[表1]を行う際に空気感染のリスクが生じる.

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