[第43回]AST に必要な微生物検査技師の知識
その3:実践 血液培養の検査結果とその解釈〜コアグラーゼ陰性ブドウ球菌が出ました〜
山本 剛 やまもと ごう
大阪大学感染症総合教育研究拠点(CiDER)
大阪大学医学部附属病院感染制御部
(初出:J-IDEO Vol.8 No.4 2024年7月 刊行)
前回は閉塞性胆管炎患者の血液培養からCitrobacter koseriが出てきた症例を題材にして,de-escalationを含めた抗菌薬の処方提案について解説しました.今回はコアグラーゼ陰性ブドウ球菌(CNS)が出た症例を題材にして考えていきましょう.
症例
血液培養は3日目に陽性となり,1セット好気ボトル1本からGPC clusterが検出.血液培養の検査は,mecA遺伝子検査では,mecA陽性,spa検出なし,SCC検出なし,MALDI-TOF MSにてStaphylococcus epidermidis(Score Value 2.30)が検出されました[図1].尿培養は細菌を認めませんでした.