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呼吸器感染症よもやま話(31)

第31回]吸入ステロイドと緑膿菌の関係

倉原 優 くらはら ゆう
国立病院機構近畿中央呼吸器センター内科

(初出:J-IDEO Vol.6 No.2 2022年3月 刊行)

トリプル吸入製剤の台頭

COPDや喘息の世界では,トリプル吸入製剤の処方が増えています[表1].錠剤の合剤と同じように,吸入薬も今や3種類が合体したものを使うのです.COPDにおいては,吸入長時間作用性抗コリン薬(LAMA),吸入長時間作用性β2刺激薬(LABA)によって1秒量の底上げやCOPD増悪を減らすことが可能ですが,末梢血好酸球数が多い場合やCOPD増悪を繰り返す場合に吸入ステロイド(ICS)の追加が推奨されています.そのため,LAMA+LABA+ICSのトリプル吸入製剤に保険適応があります.
 喘息においては,ICSおよびICS/LABAによって喘息増悪を減らすことができますが,これでもなお症状がある患者さんにLAMAを併用すると,1秒量の改善や全身性ステロイドを必要とする重度の発作を減少させることができます.そのため,ICS+LABA+LAMAのトリプル吸入製剤に保険適応があります.
 喘息もCOPDも,使用する吸入薬が重複していますが,COPDはLAMA≧LABA>ICS,喘息はICS≧LABA>LAMAの順に効果を意識して処方します(私見).

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