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突破口 感染症診療の「難問」に答えはあるか(6)

[第6回]ただちに医療体制が逼迫する状況にない,は正しいか

岩田健太郎 いわた けんたろう
神戸大学大学院医学研究科微生物感染症学講座感染治療学教授

(初出:J-IDEO Vol.5 No.3 2021年5月 刊行)

総合内科指導医D「さーて,今回もお待ちかねのCOVID-19ネタだー」
同じく総合内科指導医S「いや,特に誰も待ちかねてはいなかったと思いますよ.それに,時事ネタは危険ですよ.原稿執筆のときと雑誌が出るときのタイムラグが大きすぎますからね.出てみたら全然事情が違ってた,なんてことはよくありますよ」
D「かといって,今号が出るときに,日本からコロナがなくなってる,なんてこともないだろう.そもそも日本政府は本稿執筆時点(2021年3月)で,コロナ感染をなくそうという明確なビジョンはまるでもってないからな」
S「また,そんな本当のことをいうと追い出されますよ」
D「俺様はフィクションの存在.感染症界のビットコインだから,どこにも実在しないし,追い出せないんだよー」
S「この連載が打ち切りになれば,D先生は瞬時に消滅しますし,そもそも最初から存在しなかった黒歴史にされちゃうかもしれませんよ」
D「そして,数千年後に発掘されるという……∀ガンダム知らない人にはまったく通じないオタクギャグを出すんじゃない」

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