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呼吸器感染症よもやま話(36)

[第36回]呼吸器内科領域におけるリファンピシン徒然

倉原 優 くらはら ゆう
国立病院機構近畿中央呼吸器センター内科

(初出:J-IDEO Vol.7 No.1 2023年1月 刊行)

リファンピシン(RFP)の開発

 RFPは放線菌Streptomyces mediterraneiの培養ろ液から抽出した抗生物質リファマイシンA,B,C,Dのうち,リファマイシンBを基礎として抗菌薬の実用化が模索され,結核菌(Mycobacterium tuberculosis)とグラム陽性菌に有効な非経口リファマイシンであるリファマイシンSVとして発表されました【1】.ただ,臨床効果は不十分で実用化されませんでした.リファマイシンSVから半合成誘導体の研究が進み,1966年にイタリアのLeptit社とスイスのCiba社が共同してRFPの開発に成功,日本でも1971年に医療基準収載されました.RFPは,結核菌に対して強い抗菌活性を有し,現在も抗結核薬のなかで最も高い優先順位に位置づけられています.

抗酸菌症におけるRFP

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