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呼吸器感染症よもやま話(44)

[第44回]膿性痰で分類されていたCOPD 増悪の基準に下剋上


倉原 優
 くらはら ゆう
国立病院機構近畿中央呼吸器センター内科


(初出:J-IDEO Vol.8 No.3 2024年5月 刊行)


Antibioticsより重要な「A」

 昔は「COPD急性増悪」と呼んでいたのですが,エライ人たちの思惑もあって,最近は単に「COPD増悪」と呼ばれることが多いです.個人的にはどちらでもよいのですが…….
 COPD増悪と診断されれば,COVID-19やインフルエンザのようなウイルス感染症でなければ,基本的に抗菌薬投与が推奨されています.また気管支拡張薬が吸入できる状態であれば,できるだけフルで入れます.そしてよく議論の俎上に載るのが全身性ステロイドの必要性ですが,国際ガイドライン上1),「プレドニゾロン40 mg/日を5日間」というのが現在の推奨になっています.
 これらはAntibiotics-Bronchodilators-CorticosteroidsということでABCアプローチと呼ばれるものです.ちなみに私がAntibioticsよりも重要だと思っているのが,同じAでもABG(動脈血液ガス分析)やACP(アドバンス・ケア・プランニング)です.
 「セフトリアキソンかアンピシリン/スルバクタムどっちがいいですかね?」ときく前に,喘鳴でふらふらになっている患者さんのPaCO2をみようぜ! 数値が高かったら,非侵襲性換気の準備をしつつ,ACPにしっかり臨もう!

COPD増悪の分類の変遷

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