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呼吸器感染症よもやま話(38)

[第38回]慢性呼吸器感染症に対する吸入抗菌薬の革新

倉原 優 くらはら ゆう
国立病院機構近畿中央呼吸器センター内科

(初出:J-IDEO Vol.7 No.3 2023年5月 刊行)

使用可能な吸入抗菌薬

 現在,国内で保険診療内で使用できる吸入抗菌薬は,囊胞性線維症に対するトブラマイシン(商品名トービイ®)と,肺MAC(Mycobacterium avium complex)症に対するアミカシン(商品名アリケイス ®)の2つとなっています[表1].国外では,アズトレオナムやコリスチンの吸入が実用化されています.囊胞性線維症の肺機能の改善としてプルモザイム®という吸入薬が国内で販売されていますが,これは抗菌薬ではありません.肺高血圧症に対してもおそらく今後吸入薬が登場してくるので,呼吸器科領域はもはや「吸入薬戦国時代」になってきております.

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