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抗菌薬相互作用整理BOX(29)

[第29回]C型肝炎治療中の急患にご用心!!~ハーボニー®の相互作用~

山田和範 やまだ かずのり
中村記念病院薬剤部係長/北海道科学大学客員教授

(初出:J-IDEO Vol.7 No.3 2023年5月 刊行)

はじめに

 欧米を中心にここ1~2年で急に報告されるようになった幼い子どもの原因不明の急性肝炎.現時点では,特定の疾患の既往やウイルスをはじめとした特定の病原体は検出されていません.我が国でもこの原因不明の急性肝炎により子どもが亡くなっていたことが最近報告されました.原因不明の肝炎には,治療法が確立されておらず,対症療法が中心となります.
 肝炎といえば,成人のC型肝炎の治療は,経口薬の直接作用型抗ウイルス薬(direct-acting antivirals:DAAs)が治療の中心となり,安全性と治療効果が高い新しい薬剤が承認される一方,古い薬剤は,役割を終え市場から姿を消しています.
 そのなかで現在も使用可能なハーボニー®配合錠〔レジパスビル(LDV)/ソホスブビル(SOF)〕は,セログループ1(ジェノタイプ1)またはセログループ2(ジェノタイプ2)のC型慢性肝炎またはC型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善に対し用いられ,95~100%という驚くべき著効率と,1錠80,173円という非常に高い薬価がつけられたことで話題を集めた薬です(現在は55,491.7円).12週の治療期間で薬価の総額は4,661,302.8円になります.そんな高い薬価と当初ボトル入りの規格も関連して,2017年1月には偽造品が見つかり世間を騒がせたこともありました.このときは,患者がいつもと違う錠剤に気づき不審に思い服用しなかったことから,さいわい薬害などは発生しませんでした.
 今回は,C型肝炎治療薬であるDAAsのハーボニー®配合錠について整理したいと思います.

相互作用のメカニズム

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