抗菌薬相互作用整理BOX(19)
[第19回]カギ閉め(Lock)にはご注意を!~抗菌薬ロック療法時のヘパリンと抗菌薬~
山田和範 やまだ かずのり
中村記念南病院薬剤部係長
(初出:J-IDEO Vol.4 No.2 2020年3月 刊行)
はじめに
カテーテル関連血流感染症(catheter—related bloodstream infection,CRBSI)は,医療関連感染症のなかでも,尿路感染症,肺炎にならぶ主要な感染症の1つです.
CRBSIの増加とその対策の不備は,死亡率,合併症の増加のみならず,医療費,在院日数の増加につながることから,その適切な対策とマネジメントは医療経済上も重要です.
CRBSIはカテーテル内腔での菌の定着とバイオフィルム形成から起きるとされ,内腔のバイオフィルムから菌を除去するためには,高濃度の抗菌薬が必要となります.そのため,そのマネジメントの基本は,デバイスの抜去,すなわちカテーテルやポートの抜去に加え,適切な抗菌薬の全身投与となります.
ただし,例外的にデバイスを保存する治療があり,抗菌薬の全身投与に加え,留置カテーテルなどの内腔を高濃度の抗菌薬で充填する抗菌薬ロック療法と呼ばれています.
今回は,このロック療法に使用される抗菌薬[表1]と,その際,混合されるヘパリンとの相互作用をみていきたいと思います.
ここから先は
5,433字
/
1画像
¥ 100
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?