呼吸器感染症よもやま話(16)
[第16回]アレルギー性気管支肺アスペルギルス症の第一選択は抗真菌薬か?
倉原 優 くらはら ゆう
国立病院機構近畿中央呼吸器センター内科
(初出:J-IDEO Vol.3 No.5 2019年9月 刊行)
アレルギー性気管支肺アスペルギルス症を疑うとき
当院は難治性喘息で紹介されてくる患者さんがとても多く,そのなかには,好酸球性多発血管炎性肉芽腫症や慢性好酸球性肺炎といった稀な疾患も含まれていますが,胸部CT写真で“こん棒”のようなmucoid impaction(粘液栓)があった場合,アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(allergic bronchopulmonary aspergillosis, ABPA)を積極的に疑います.
ABPAの患者さんにみられるこん棒のようなmucoid impactionのことを高吸収分泌物(high attenuation mucus, HAM)といいますが,HAMが認められる場合,ほぼ100%の特異度でもってこの病態にあると診断されます【1】※1.これは,真菌が酸化物として産生する鉄,マンガン,カルシウムがmucoid impactionを高吸収域にするためで,真菌性副鼻腔炎でもMRIで類似の所見が得られます※2.
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