研修医のための微生物レクチャーシリーズ グラム染色所見と培養結果からどう考える?(23)
[第23回]グラム陽性桿菌編(8)
黒田浩一 くろだ ひろかず
神戸市立医療センター中央市民病院感染症科
(初出:J-IDEO Vol.7 No.5 2023年9月 刊行)
前回の連載では,Nocardia属の微生物学的特徴とノカルジア症(Nocardiosis)の臨床像と診断について説明しました.今回は,ノカルジア症の治療と予後について説明していきます.
1.ノカルジア症の治療
前回の連載で詳しく説明しましたが,ノカルジア症は主に細胞性免疫不全のある患者に発症する難治性の感染症で,病変は主に肺・脳・皮膚に形成されます.治療とその経過の特徴として,抗菌薬の併用療法が通常必要であること,適切な治療を行っても改善が緩徐であること,通常の感染症よりも長期の抗菌薬治療が必要であること,治療期間が不十分だと再燃するリスクが高いこと,などがあげられます.
1)基本事項[表1]
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