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研修医のための微生物レクチャーシリーズ グラム染色所見と培養結果からどう考える?(15)

第15回]グラム陽性球菌編⑮

黒田浩一 くろだ ひろかず
神戸市立医療センター中央市民病院感染症科

(初出:J-IDEO Vol.5 No.6 2021年11月 刊行)

 前回の連載では,Streptococcus anginosus group(S. anginosus group)による感染症について説明しました.今回は,Streptococcus bovis groupについて解説します.



1.Streptococcus bovis groupの微生物学的特徴

1.分類[表1]

表1]Streptococcus bovis groupの分類

 これまでに頻回の名称変更があったので,詳細は文献1~3を参考にしていただくとよいと思います.以前はStreptococcus bovis(S. bovis)と呼ばれ,biotype Ⅰ,biotype Ⅱ/1,biotype Ⅱ/2の3つに大きく分類されていました.現在ではS. gallolyticus subsp. gallolyticus(biotype Ⅰ),S. gallolyticus subsp. pasteurianus(biotype Ⅱ/2),S. infantarius subsp. infantariusとS. infantarius subsp. coli(biotype Ⅱ/1)などに分類され,亜種(subspecies)まで同定することが一般的です.これら4つの亜種が,臨床検体から検出されるS. bovis groupの大半を占めています【4,5】.


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