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Dr. ゴローのバイタルドクター臨床日記(3)

Dr. ゴローのバイタルドクター臨床日記(3)
[第3話]高齢者の急変!? 大変BADですな!
入江聰五郎 Sogoro Irie
医療法人松藤会 入江病院総合診療科

本連載では,バイタルドクター・入江先生の化身,「Dr.ゴロー」が登場!バイタルサインからの臨床診断を実践するDr.ゴローと一緒に考え,そのコツを身に付けましょう.


 Dr. ゴロー,今日も元気に当直中.夜中2時にPHSが鳴りました.

病棟ナース:入院中の患者さん,様子がおかしいので診察をお願いします.
Dr. ゴロー:えっと,どんな様子ですか?(眠いです……)
病棟ナース:85歳の男性で整形外科で手術された方で,そちらは落ち着いて夕方トイレまで移動されていたんですが,今はなんかぐったりしているんです.
Dr. ゴロー:バイタルはどうですか?(ん~,まだ眠いです.でも行きます……)
病棟ナース:バイタルは……えーっと…….ちょっと待ってくださいね??? あ,BP 110の80,ハートレート 78,サット 92%です.
Dr. ゴロー:呼吸回数と意識はどうですか?(目が覚めるわけではないですが……)
病棟ナース:え??? 呼吸ですか?? えっと~……,そんなに苦しくなさそうだったと思いますが,なんかぐったりしているんです!
Dr. ゴロー:わかりました.もうすぐ着きますので,救急カートの準備をしておいてください(情報があてにならないので,自分で見に行きましょう).
病棟ナース:え!? 救急カートですか!? わかりました~(診察もしないで,救急カート準備しろなんて,なんでだろ?).

 バイタル大好き! Dr. ゴロー,中途半端なバイタルはお好きではありません.どうやら今回は中途半端なバイタルの代表,「呼吸回数を見てません症候群」のようです.しかし,看護師さんが夜中にドクターを呼ぶというのは,確実に何か異変があるということです! 頑張って目をこすりながら病棟に急いで向かいます.
 ベッドサイドに到着,まずDr. ゴローがとった行動は直接患者に触れることです.ここで重要なのが「ヤバイタルのポーズ」[図1].

図1

[図1]ヤバイタルのポーズ
片手で患者の指先,もう一方の手で患者の橈骨動脈
を触れつつ,目線で首~胸元の観察をする.

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