[第25回]物忘れが主訴の感染症
山田和範 やまだ かずのり
中村記念病院薬剤部係長/北海道科学大学客員教授
医師「本日から予定入院の患者さんに神経梅毒の治療を開始したいと思います.ベンジルペニシリン(PCG)を使おうと思いますが用法・用量は1日2,400万単位を1日6回に分けて点滴静注でよいですよね?」
薬剤師「神経梅毒ですか.腎機能に問題がないようでしたらその用量でよろしいかと思います.患者さんの状態はどんな感じですか?」
医師「1ヵ月半前に物忘れを主訴に外来受診した患者さんなんですが,当初若年性アルツハイマー病を疑いドネペジルも開始していました.ここ1ヵ月で物忘れの度合いがひどくなり,仕事に支障をきたすほどになったようです.前回の入院で精査しましたが,神経梅毒で説明がつきそうです.現在は,発熱はなく,循環動態も落ち着いています」
薬剤師「そうなんですね.それでは病歴などを診療緑で確認後,患者さんのフォローも一緒にさせていただきます」
Point!
梅毒の第一選択薬はペニシリン!
早速,当該患者が入院している病棟で診療録および,検査結果を確認しました.
入院時現症
内服薬服用歴
各種検査所見