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呼吸器感染症よもやま話(34)

[第34回]喀痰を減らす方法

倉原 優 くらはら ゆう
国立病院機構近畿中央呼吸器センター内科

(初出:J-IDEO Vol.6 No.5 2022年9月 刊行)

呼吸器感染症の主症状「喀痰」

喀痰は,呼吸器感染症を罹患したときの主症状です.膿性かつ粘性のこともあり,なかなか「キレない」とおっしゃる患者は多いです.生理食塩水のネブライザーを吸入してもらうだけでもかなり排痰しやすくなりますが,せっかくネブライザーするなら,ということでアセチルシステイン入りの生理食塩水を吸入してもらうこともあります(処方例:ムコフィリン® 2 mL[1包]+生理食塩水を合計10 mL程度にして1日2回,など).ネブライザーは,生食の量が少ないとあっという間にネブライジングが終わってしまうので,経験的に10mLくらいはあったほうがよいと思います.そういえば,新型コロナのパンデミック当初,ネブライザー治療そのものに制約がかかってしまい,そのままなんとなく病棟でネブライザーを行うことが減ってしまった気がします.アミカシンのネブライザー吸入(アリケイス®)を当初入院で行うときに,エアロゾルが発生するのは大丈夫かという議論が出たくらいです.
 さて,外来では,喀痰に対してしばしばカルボシステインやアンブロキソールが用いられます.いずれも喀痰の粘性を下げる作用があり,作用機序は[図1]のごとくです.カルボシステインは大きな錠剤を1日3回内服する必要があることから,服薬アドヒアランスを優先して1日1回のアンブロキソールがよく用いられています.

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