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呼吸器感染症よもやま話(13)

[第13回]吸入ステロイドによる細菌性肺炎

倉原 優 くらはら ゆう
国立病院機構近畿中央呼吸器センター内科

(初出:J-IDEO Vol.3 No.2 2019年3月 刊行)

吸入ステロイドは細菌性肺炎のリスクである

 喘息やCOPDに対して用いられることがある吸入ステロイド(ICS)は,ガンガン吸っていると用量依存的に細菌性肺炎を起こします.ICS/吸入長時間作用性β2刺激薬(LABA)が発売される前は,高用量ICSが難治性喘息によく使われていましたから,今よりも肺炎が多かったようです.

 さて,目の前の患者さんがICSによる肺炎なのかどうかは神のみぞ知るわけですが,コクランレビュー【1】は「致死的ではないが肺炎のリスクは増える」と明言しています[表1].ICSにはいろいろな製品がありますが,基本的にフルチカゾン(フルタイド®など)のほうがブデソニド(パルミコート®など)よりも肺炎のリスクが高いとされています.

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