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研修医のための微生物レクチャーシリーズ グラム染色所見と培養結果からどう考える?(10)

[第10回]グラム陽性球菌 ⑩

黒田浩一 くろだ ひろかず
神戸市立医療センター中央市民病院感染症科

(初出:J-IDEO Vol.4 No.5 2020年9月 刊行)

 前回の連載では,C群・G群レンサ球菌が起こす感染症とその治療について説明しました.今回は,肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)による感染症とその治療について解説します.

1.肺炎球菌の微生物学的特徴

1.グラム染色
 肺炎球菌は,chainを形成するグラム陽性球菌です.Short chainを形成することが多く,卵円形またはランセット型(遠位端がややとがった形態)と表現される楕円形の菌体が横長に2つ連なっているグラム陽性双球菌のパターンが典型的です[図1a,b].また,菌体の周囲が莢膜のために染色されず,抜けて観察されることがあります[図1c].

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