内枠が下手な騎手を調べてみた

いきなりで申し訳ないが、クイズを出そう。


Q:4大悲劇をすべて答えなさい



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ここで『ハムレット』『オセロー』『マクベス』『リア王』と答えた方は恥じてほしい。


このような記事において、そのような普通な答えが求められていないことに気づけないあなたは空気が読めない人間、通称KYである。

おそらく日常生活においても、周囲から疎まれているに違いないが、きっとあなたはそのことにも気づけていないはずだ。なぜならあなたはKYだから。


(が、わたしのフォロワーはきっと競馬中毒しかいないので、シェイクスピアなんて馬名のことだと思っている人ばかりであろう。)


というわけで答えなんだが、ここでいう4大悲劇とは

・「落馬」

・「故障」

・「出遅れ」

・「内で詰まる」

の4つである。(異論は認めない)


これらはどんなに強い馬でも負けてしまう要因になるだけではなく、予期することが難しいため、出会ってしまったら不運で片付けられることも多いような物たちである。


だが、これらの要素についても本命党である我々は注意深くならなければならない。


落馬するような馬は「スタート後に躓いた過去がある」「気性難である」「レース経験が少ない」などという要素が絡むことも少なくないし、故障についても「調教」「パドック」「返し馬」などで勘づくことができるケースもある。


出遅れにしても、「その馬の過去レースのスタートを観察」したり、「騎手ごとの特徴」などを知っておくことで、防げることもある。


そういう観点からすると、「内で詰まる」ということは、「枠順・枠の並び」・「騎手の技術」・「展開」などを考えることで、他の悲劇よりも防ぎやすいものであるというのは、皆様にも同意いただけるのではないだろうか?


で、今日はその中でも、「騎手の技術」というものについて述べていきたい。


ここでいう騎手の内で詰まらない技術とは、①馬の操縦力、②コーナー~直線での進路取り、③コーナーに入るまでの準備の3つに分けられると思う。


①馬の操縦力

わたしは昔、岩田騎手が好きだった。

岩田騎手といえばイン突き。

多くの騎手が無思考に大外ぶん回しをする中、内を選択し、狭い馬群の中をすり抜けてくる。その姿は爽快そのものだった。

それもこれも「追いながら進路変更も同時に行える」というある種の岩田騎手の特殊技能がなせる業であった。

そして、その対照的なポジションを確保していたのが「前が壁」で有名な福永騎手

当時の福永さんは馬の操縦が下手で、追うのと進路変更を同時に行えない騎手だった。だからよく内で詰まっていた。

この二人が象徴的なんだが、この技術に関しては、地方出身のジョッキーが上手い印象がある。(おそらく地方競馬場の方がコーナーが鋭角で、直線短いことが影響しているとは思う)


②コーナー~直線での進路取り

ここでいう進路取りというのは、前にいる馬のどの馬が下がって来るかを読んだり、騎手の鞭の打ち方を観察しその馬の左右どちらが開きそうかを読んだりする技術である。(馬場読みは含んでいない)

これは松山さんのような例外が数人いるが、リーディングを争っている騎手だと大体うまく、逆に新人騎手は目も当てられないほど下手な印象がある。


③コーナーに入るまでの準備

これがトップジョッキーとそれ以外の騎手で大きく差が出る部分の様な気がする。

これができている騎手だとそもそも「詰まるんじゃないか?」と不安になることが極めて少ない。

上手いと思うのはルメールさんがずば抜けていて、次に福永さん、その次に川田さんみたいな印象だろうか。

で、ここからはただの雑感なんだが、これは人気馬にたくさん乗る騎手じゃないと磨かれない技術の様な気もする。

人気薄の馬の場合は、「嵌れば勝ち」みたいな騎乗でよいが、人気馬の場合は「どんな状況でも勝ち」みたいな騎乗が求められる。

リスクを取ることが許される騎乗と、リスクを回避しなければいけない騎乗では、必要な思考や準備が違うんじゃないかということである。


で、①②③を総合すると、当然リーディングジョッキーに入るような騎手ほど内枠でも買えるという結果になりそうなもんだが、実際にどうなのか調べてみた。


調査方法としては、それぞれの騎手ごとに「内枠(1・2枠)での複勝率」と「外枠(7・8枠)での複勝率」を調査し、「内枠での複勝率÷外枠での複勝率」を計算したうえで、その数値が低い騎手に、「内枠での競馬が苦手」という称号を与えるという形を取った。

※過去5年の勝利数が上位50名で調査
※単に内枠での複勝率を比較すると、馬質の差が大きく出てしまうため、上記のような手法とした
※上記のような調査手法のため、内枠が苦手なのではなく、外枠が得意なだけという方も交じってしまうことには注意が必要。いずれにせよ園騎手の中で、内枠の信頼度が下がることは間違いない。


結果は以下の通りである。


【内枠での競馬が苦手な騎手】
松岡正海 0.73
藤田菜七 0.74
坂井瑠星 0.77
横山和生 0.78
富田暁 0.78
石橋脩 0.79
鮫島克駿 0.83
津村明秀 0.84
勝浦正樹 0.86
菱田裕二 0.87
木幡巧也 0.88
岩田康誠 0.88
戸崎圭太 0.89
菅原明良 0.90
武藤雅 0.90
横山武史 0.91
内田博幸 0.93
松山弘平 0.94
団野大成 0.95
柴田大知 0.95


堂々の1位には松岡騎手が選ばれた。

正直、内枠が駄目という印象を個人的には持っていなかったので、意外といえば意外である。


2位は菜七子先生。

まあ捌ける印象はないので、たしかに内枠はダメそうだ。


他にも、横山和生さん、石橋脩さん、津村さんあたりは内枠に悪いイメージがあるので、ここらへんはめちゃ予想通り。


トップジョッキーの中では松山さんがランキングしているがそれも予想通り。松山さんは進路取りに課題がある。(それ以外のトップジョッキー、ルメールさん、福永さん、川田さんは入っていない)


最近人気の坂井瑠星さん、鮫島克駿さん、菅原さんあたりも外枠のイメージの方が強いので、ここらへんもイメージ通りといえばイメージ通りといって良いだろう。


イメージになかったところでいうと岩田康誠さんと横山武史さんとかだろうか。この2人は内枠得意のイメージがあったが、どうやらわたしの勘違いだったようだ。


そして12/20 ダノンフューチャーで多くの人を葬った岩田Jrであるが、今回の調査では、内枠が下手という結果にはならなかった。(1.06で内枠の方が得意)

そういうわけで、このデータを知っていたところで、ダノンフューチャーの悲劇は避けられなかったことになる。


というわけで、参考になるのかならないのか微妙なデータだが、これが将来的に誰かを救うことになったら、こんなにうれしいことはない。


他にも色々考察記事書いてますので、よろしければどうぞ\(^o^)/


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