宙毒
作った詩
我儘でも 臆病でも 怠惰でも良い 沢山寝ても 沢山食べても 沢山泣いても良い 足元を見ても 目の前だけ見ても 後ろを向いても良い 歩いても 後ずさっても 座り込んでも良い 羨んでも 憎んでも 自慢しても良い 君の思うままに 君らしく生きたら良い
君のかかとがリズムを刻む イヤホンコードが揺れている 教室の隅で机を鳴らす 誰も気づかぬ音量で 一度聴かせてくれたけど あまりに刺激が強過ぎた 普段静かな君の目に 青い炎が燃えていた
愛情の情が無いものが愛?
些細なことだった 君と喧嘩した 罵り合って 殴り合って 血まみれになりながら 互いに傷つけ合って 声を出す力がなくなって 息がしづらくなって 同時に地面に倒れ伏した そして 人間が愚かなこと 自分が小さいことを知った 君が僕と同じことも知った 互いにつけた傷を舐め合って 初めて愛おしいと思えた
小さい頃に掲げた大きい夢 五年経っても十年経っても 意地を張って追い続けた あの時には 途中の道が暗いなんて 思ってもいなかったけど いつ辿り着くかも分からない 遠い遠い目的地に向かって 夜の海上、櫂を漕ぐ きっといつかあの塔に登って 広く青く綺麗な海に、 古びた船に感動したい
「火がついている所から 糸をほどいてるみたいだね」 まだ小さかった娘が 純粋な眼差しで 毒ガスを撒き散らす俺に言った。 煙を吸うことで解けるならば この一本の布切れは 「焦り」や「不安」だろうか 絡み合った糸がほぐれることで 俺はいつも満足しているのだろうか 解けた後の糸は 娘や妻にまとわりつくのに 空想の布が解けきっても 現実が解決する訳じゃない 俺はその日から 布切れを燃やすのを辞めた。
酒のグラスが空になり 気付けば小さな灰の山 身体に悪いと言われても やめたら心に悪いから 一度くぐった扉には 外から鍵を掛けられた 自ら取り込む毒ガスが 復唱するのは「生きている。」 窓の向こうの深い闇 紫の糸が解けていく
少しだけ、 本当に少しだけ 期待してしまった私がいた 久しぶりに会ったのに すごく楽しそうに 会話を続けてくれるから 予定が合わないんだって 連絡も毎日じゃないんだって 愚痴をこぼしていたから 事実は変わらないのに 現実は変わらないのに 良かった ちゃんと元通り 関係性も 私の心も 友達に戻れたみたい ありがとう これからも仲良くしてね 涙の理由なんて知らない。
旧友と飲みに行った帰り道 ぼやけた思考を覚ます爆発音 来た道をゆっくりと振り返れば 遠くの空が鮮やかに色付いた そういえば10年くらい前に あの子と一緒に行ったんだ 今日も誰かの隣で笑っているかな 遠くの空が鮮やかに色付いた
君と会わなかった間に 私、頑張ってたんだよ 自分らしく笑えるように 自信も持てるようになったよ 似合う髪型も服もメイクも 色々見つけたんだよ 数年前の君の彼女より 素敵な女性になれたかな 一度も嫌いになれなかったけど 未練なんて今更もう無いの 君の隣に座る知らない子が 今も少し羨ましいだけ
暑い夏の日に精一杯 誰よりも高く背伸びして 色鮮やかに自己主張した それは自分の子孫のためであり 自分のためでもあった 輝きを失ったあと 選ばれた者たちだけが 熱の残る中精一杯 来年のために準備をした 眩しい夏の太陽の下 足元の土をじっと眺めながら 静かにその時を待っていた それは自分のためであり 誰かのためでもあった
暗い夢から覚めたので 部屋のカーテン開けました 夜中に雨が降ったのか 今も曇った空でした 出掛ける予定があったので 渋々布団を抜け出して 「今日は一日荒れそうです」 天気予報を見たのです
やっぱり俺の詩って詩と言うより日記であって超短編の物語みたいだな
知り合いの紹介で 僕より少し年上の君に出会った。 年齢は見た目からは想像できなくて 君が来るのを心待ちにしていた。 あれから数年の時が経って 僕と君はすっかり親友になっていた。 少し語弊があるかもしれないが そう言えるほどに僕と君は どこにでも一緒に出掛けた。 雨雲が去り、よく晴れた空 今日も君に声をかける。 「行くよ、相棒。」 ペダルを勢いよく蹴れば 君は元気にエンジンをふかした。
去年よりも暑い日が ずっと続いていた。 鮮やかな空の色が 眼球の裏側を突き刺した。 ただ、それだけだった。 太陽がやっと傾き始めたころ 分厚い雲が忍び寄ってきた。 鮮やかだった空の一部に 大きな蓋が乗せられた。 酷く熱されたアスファルトが 一瞬だけ冷静になって もう一度、僕らに喰らいついた。 ただ、それだけだった。
三度目の目覚ましで慌てて飛び起きる。 あまりにも散らかりすぎた部屋 朝には役に立たない常夜灯 昨日の夜飲んだ酒の缶 何か夢を見た気がしたが覚えていない。 ふと我に返り布団から抜け出すが 今日は日曜日だった。