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【読書】人と社会と幸せについて考えながら

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気の向くままの読書記録です。本の選び方はマニアック、かも。内容も、本の紹介はもちろんしたいことだけど、自分が何を思ったか、何を連想したか、も記録しています。それから基本図書館で借…
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2023年10月の記事一覧

【読書】樋口季一郎の遺訓 ーユダヤ難民と北海道を救った将軍

出版情報 タイトル:樋口季一郎の遺訓 ーユダヤ難民と北海道を救った将軍 編著:樋口隆一 出版社 ‏ : ‎ 勉誠出版 (2020/4/2) 単行本 ‏ : ‎ 552ページ ユダヤ難民と北海道を救った将軍  樋口季一郎の名を知っている人は、あまり多くないかもしれない。あるいは本稿の読者の方であれば、にわかの私よりよっぽどご存知の方が多いのかもしれない。  樋口季一郎は本書のサブタイトルの通り、ユダヤ難民と北海道を救った将軍(中将)である。正直なところ、本書をどのよ

【雑感】一万年の知恵:イノベーション

 大昔に『一万年の旅路』という本を読んだことがある。その中に、ある男が毛皮で服を作る、というアイディアを思いついた、という話がある。    本そのものは、ネイディブアメリカンのイロコイ族に伝わった口承伝で、最後の記憶保持者のお婆さんが文字に起こしたものだという。英語で書かれたものは詩の形式で、そんなに厚くない本なのだが、日本語に訳されたものは相当に分厚い。訳者が補ったものがだいぶあるのでは、と思う。  で、一族は出アフリカの記憶まで持ち、歩いては定住し歩いては定住しを繰り返

【読書】古事記 (池澤夏樹=個人編集 日本文学全集01)

出版情報 タイトル:古事記 (池澤夏樹=個人編集 日本文学全集01) 訳者:‎ 池澤 夏樹 出版社 ‏ : 河出書房新社 (2014/11/14) 単行本 ‏ : ‎ 402ページ 現代人の情報取得法に配慮した『古事記』  本書の『読み易さ』をご紹介したく本稿を書いている。この『読み易さ』は、現代人の情報取得法に絶妙に配慮していることからきている。私は古事記を手元に置いて読むのは2冊目なので、他の本のことはわからないまま、『読み易い』を連呼することになる。この寡聞

【読書】古事記ワールド案内図

出版情報 タイトル:古事記ワールド案内図 著者:池澤 夏樹 出版社 ‏ : ‎ 河出書房新社 (2023/5/24) 新書 ‏ : ‎ 256ページ 芥川賞作家の古事記tips  池澤は1988年に芥川賞を受賞している。御年(おんとし)78歳の大ベテランだ。その池澤が古事記を現代語訳し、雄略天皇(ワカタケル)を主人公に小説も書いた。世界を股にかけて翻訳もこなし、旅行、移住もした著者が、現在は北海道に戻って、テーマも日本、しかもど真ん中の古典、古事記に戻ってきた。き

【読書】日本とユダヤの古代史&世界史 その4

出版情報 タイトル:日本とユダヤの古代史&世界史 - 縄文・神話から続く日本建国の真実 著者:茂木 誠、田中 英道 出版社 ‏ : ‎ ワニブックス (2023/6/9) 単行本 ‏ : ‎ 304ページ 本稿の構成 本稿は下記のような一連のシリーズの4. ユダヤ人と日本人のこれからです。  ユダヤ人とは何者か  ユダヤ人と日本人の関わり  2-1 古代日本にユダヤ人が来ていた!そのうち第1波〜第2波まで  2-2 古代日本にユダヤ人が来ていた!そのうち第

【読書】警視庁公安部外事課

出版情報 タイトル:警視庁公安部外事課 著者:勝丸 円覚 出版社 ‏ : ‎ 光文社 (2021/9/22) 単行本(ソフトカバー) ‏ : ‎ 200ページ 日本を守る最前線  著者は約20年間の警察人生ほとんどを警視庁公安部に勤めたという。その間、3年間は外務省に出向し某国日本大使館の警備対策外交官として活躍し、帰国後、在日各国大使館と警察との橋渡しをする外事課のリエゾン担当となったというベテランだ。そして退職して書いたのが本書である。最近ではテレビドラマのV