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めでたし、めでたし。

 11月後半になり、ぐっと寒くなった。今年は夏みたいな秋みたいなそんな日々が続いていたけれど、急に冬になると戸惑う。
 毎年この時期はいつもツキステの季節。大抵9月~12月までのどこかで必ず1演目は開催してくれるので、なんとなくそういう「当たり前」みたいなものだと思い込んでいる節がある。本当は当たり前じゃないのに。
 何はともあれ『2.5次元ダンスライブ ツキウタ。STAGE 第14幕「Rabitts kingdom」』、追加の2公演も足して全14公演、本当にお疲れ様でした。後半の日程があまりにも過酷すぎて、ちょっと正気を失いかけましたが、楽しかったね、とても。ラビキンという作品が「楽しかった」で終われる日が来るなんて6年前の自分が聞いたら怒り狂って泣いてしまうと思います。タイムリープしてきて刺されるかもしれない。それくらい、この作品の初演にはあまりにも負の感情が多すぎた。だからこれは、公演の感想ではなく、わたしの超個人的な思い出話の記事です。

 6年前、どうしても許せない案件があって、初演ラビキンは絶対に認められない「2.5次元作品」だった。
 推しのキャラクターがまともな俳優に演じてもらえるなんてね、当たり前のはずなんです。みんな「〇〇くんを演じてくれてありがとう」「△△さんが〇〇役でよかった」って言うけど、それがどれだけ幸福かなんて、きっと考えたことがある人の方が少ない。何故なら大抵の俳優はまともだし、適切な努力をするし、経年で技術も解釈も向上するからです。それが普通は当たり前なんですよ、向こうも仕事だし。でも世の中には「普通」じゃない案件もあるんだなぁ……ということを嫌というほど思い知り、わたしは2.5次元も2.5次元俳優もまるごと嫌いになり、ついでに2.5次元を楽しめている友人たちとも上手く連絡が取れなくなり、世の中を呪いつつ、自分自身も呪われつつ、暗黒の時期を過ごした。

 それから丸6年、色々なことがあって。
 色々なこと、の一部はこのnoteにも書いてあることだったりするけど、それ以外にも人には話せないような情けない話や、趣味に対して何ムキになってるんだっていうような、本当に様々なことをして、時には友人を泣かし、時には「もう全部やめる!」と言い出し。オタクってなんでこんなめんどくさいんだ、他人に強要されてるわけでもないのに。そういう生き恥を日々重ねつつ、それでも少しずつ、呪いの効果が薄まってきた頃に発表されたのがラビキンの再演だった。
 この6年間に起きたこと、すべての出会い、演劇に関するあれこれ、そういうのはきっと、このラビキンの再演の千秋楽までを繋ぐための役割をひとつひとつ持っていたのかもしれない。TAKAくんたち3期生がツキステにやって来たこと、A3!に再会したこと、立石さんに出会ったこと、エーステに千景がやって来たこと、繋ぎ直された友人たちとの縁、友人が繋いでくれた新しいいくつもの縁、散々通った2回の春単、エーステ春組の俳優がみんな原作に誠実であろうとしてくれたこと、今のツキステの俳優陣が不器用でも出来ないことが多くても本気の気持ちと解釈で送り出してくれたいくつもの演目。そして、その大多数の出来事をいつも隣で見守っていてくれた連番回数が断トツの特別な友人。
 ひとつひとつの物事がバトンを繋いでいくように不可欠で、結果としてわたしは様々なお力添えあり、白黒両方の千秋楽を含めて10公演観劇しました。全14公演なので頑張りましたね。1公演4時間あるからさ……。そんな裏でやらかしたチケットのあれこれとかもあるんだけど、インターネットで残すのは憚られるので、実際に会う機会があったら聞いてください。結構やらかしている。

 ラビキンを完走して、自分の中で何かが満ち足りてしまった感覚があって、もう無茶苦茶な多ステとかマチソワとかしないのかもしれないって思ったりする。いや、今はまだ疲労困憊なだけで喉元過ぎれば熱さを忘れるかもしれないけど。わたしはきっとこれから先も色んな劇場に行くのだろうと思う。2.5次元もそうじゃないものも。……たぶん。そして俳優のイベントにも行くだろうし、ソシャゲも、ツキウタも、たぶん好きなままいる。だけど、これからは無茶苦茶しないで、大切なものを選んで過ごしていくのも良いよねと考えています。特に今年は無茶だらけだったので。無茶はそれはそれで楽しいんだけどね。自分の人生だし。
 まあ、これを千秋楽後に乾杯しながら言ったら「違ううさぎが『立川で待ってるよ監督さん』って言ってる」と友人には言われたりもして、それはそうだなって思ったりもした。立川は嫌です。

 ここまで紆余曲折あった6年間だったけど、わたしが大好きなもの、これからも大好きでいられますように。大切に愛していけますように。今はただそんなことを祈る。これを読んでいるすべての人が自分の「好き」を侵害されることがありませんように。
 「推す」ことは複雑で「好き」は難しい。だからこそ一人一人のグラデーションがあって、唯一無二の物語がある。すべての物語が「めでたしめでたし」で終わりますように。わたしのこれからの物語も、また6年後に此処を振り返った時「いい思い出」だったらいいな。

10枚の入国済みチケット。お疲れさまでした。


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