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今さら『VIVANT』にはまってドラマを観る目線が変わるなと感じた話

VIVANTは世の中的にもうすでに盛り上がるだけ盛り上がって
今落ち着いたところかなと思うので
今更なネタですが、当記事はネタバレなしです。

(以下、stand.fmで話をした内容をだいたい文字起こししたものです)

久々にハマって見るのがやめられなくなったドラマ『VIVANT』。
夏の本放送の間ずっとバタバタしていて見れていなくて、
ずっと「見たい、見たい」と思っていた。
TVerで先週末ようやく1話目を視聴してみたところ、
面白すぎてやめられなくなってしまい、
つい睡眠時間を削って視聴し続けた結果、
風邪をひいてしまった。

ゴールデンタイムのドラマの制作費というのは
1話あたり通常3000~4000万円とのことだけれど
VIVANTの場合は1話あたり1億円という
かなりの制作費がかけられている。

本作は半澤直樹で演出などをされた
福澤克雄さん原作のオリジナルドラマになっている。
原作ありきのドラマじゃないので
誰もその先の展開を知らないというところのドキドキ感 があった。

あと異例な点として
初回放送までストーリーや役柄っていうのを
一切明かさないと手法が取られていた。

バルカ共和国という中央アジアの架空の国と
日本を舞台にストーリーが展開されいて、
主人公を演じる堺雅人さんが
スーツ姿で砂漠をさまようという
「何がどうしてそうなったんだ」という映像から物語が始まり、
主人公が日本を標的にしたテロに巻き込まれていく話になっている。

ドラマ本編を見るだけでは飽きたらず
YouTube の考察を見るのも楽しくて
それも見ていたというせいで夜更かしをしてしまった。

中でもすごく面白いなぁと感じたのが
「無限まやかし【エンタメ面白解剖ラジオ】」というチャンネルだった。

こちらプロの脚本家の方と
考察系YouTuberの男性2人組で話をされている番組だった。
お二人の話の引き出しが多いことや、
映像を撮る仕事をする方の目線で話をされていたところが
非常に面白かった。

制作費の高さについては、
モンゴルで2ヶ月以上のロケをしたというところが
まず上げられるかなと思う。

見渡す限りの砂漠や地平線など、
雄大な自然の美しさが印象的だった。
砂漠はとても美しいけれども、
非常に冷酷で死と隣り合わせだという緊迫感も表されていたと思う。

ただその海外ロケだけではなく
制作費をかけた分贅沢な作りになっている理由について
「無限まやかし」のお二人が話されていて、
非常に面白いと感じた。

①明らかに一度しか使わないセットが作られている

通常は繰り返し使われる場所のセットが作られるのだそう。
けれどもVIVANTの場合、主人公たちが逃げる隠れ地下道
(たぶん1回しか使わない)も
しっかりと作られているというところが、
すごい贅沢だなとおっしゃられていた。

②夜なら夜朝なら朝に撮影されているということ

その時間に撮れる映像を撮るために
その瞬間に向けて全員が入念に準備しないといけないところもあるし
時間も限られているのですごく大変なんだという話をされていました。

VIVANTの中でも桜が咲く印象的なシーンがあるけれども
それもCGで合わせたわけではなくて
桜の季節に撮影されたという話も聞いた。

③エキストラがとにかく多い

尾行したりされている間に
ターゲット見失ってしまうというシーンがあるけれども
人でごった返しているというような映像で
「そりゃ見失うわ」という説得力があった。

あるいは社員食堂で噂話を集めるというシーンがあるのだけれども
その社員食堂もとにかく人がいっぱいだった。

こういうふうに通常エキストラが多ければ多いほど
コントロールが大変になるため、
脚本などで調整するものなのだそう。

例えば社内の噂話を集めるというふうなエピソードがあったとしても
社員食堂ではなく、給湯室や階段の踊り場などで噂話を聞くのであれば
明らかに人が少なくて済むため
そういうふうに脚本で調整していくことが多いとのこと。

VIVANTの場合は
空港、病院の待合室、お店の中とにかく人が多いということで
「無限まやかし」のお二人が
「エキストラが多い多い」とおっしゃるので
ついエキストラを数えるという癖がついてしまった。

④食事のシーンが多い

特筆すべきは月島もんじゃ焼きを作りながら
専門用語を交えた会話するシーン。
番組の裏話では、リハーサルで20枚、本番で10枚焼いたとのこと。
(その計30枚は後からスタッフみんなで食べたとのこと)

もんじゃ焼きを作り始めるところからヘラを使って作るところまで
映像を撮りながら会話をしていくシーンなので
誰かのセリフを間違えたり、
角度を変えて撮影しする度に
最初から焼き直さないといけないということになるため、
映像を撮る立場から見てここのシーンで月島もんじゃ焼きを
持ってくるっていうところが信じられないと話されていた。

脚本家の方から見て
主人公たちがいつご飯を食べているんだろうというふうに思うくらい
あまりにも食事シーンが少ない場合は
リアリティが減って興ざめしまうらしいのだけれども
VIANTの場合、必ずって言っていいほど食事のシーンが多くあった。

特にお赤飯が大事なキーとして使われているんですけれども
これが非常に美味しそうで思わず食べたくなってしまった。

⑤超ロングショットが使われている

ロングショットというのは
キャラクターにカメラの焦点があった状態から
カメラを どんどん引いていって
どんどん景色が映っていくというショットのこと。

キャラクターの主観的な目線から
客観的な目線へと誘うという効果があるそうで
古くは『風と共に去りぬ』でも使われていた手法とのこと。

特に何か特別なことが起きるわけではなくても
印象に強く残る撮り方だと感じた。

ただこれもすごく難しいのだそうで
カメラが回っている間に
変なものが一つでも映り込んだら
即NGとなってしまうため、
主役たちもさることながらエキストラたちの演技も
ずっとコントロールし続けないといけず、
かなり難しいものなのだそう。

映像を撮る人が「撮りたい」と思いながらも
なかなかさせてもらえないという取り撮り方とのこと。

こんな感じで素人目線だと
たださっと流してしまうようなシーンでも
プロの方から見てすごい贅沢な作りとのことで
こういう話を聞くと、
今後ドラマを見る目線が変わりそうだなと思った。

VIVANTは海外への配信も意識しているのかなというふうに感じた。
日本のコンテンツはすごくいいものが多いけれど
なかなかアニメ以外が海外に広がっていないというところが
非常に残念だなと思っていたため、
日本発の世界的ドラマへのチャレンジの一つなのかなと感じた。

タイトル画像:UnsplashPeter Burdonが撮影した写真

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