映画『名探偵コナン 黒鉄の魚影』感想
春になると桜を、秋になると紅葉を観たくなるように、
ゴールデンウィークになるとコナン映画を観たくなる。
原作もアニメも追っておらず、
1年に1回季節性のコナン女子になる素人の感想です。
※ネタバレ含みますので、これからご覧になる人はご注意ください。
今回の映画は、顔認証システムがキーになっていた。
名探偵コナンが連載開始したのは1994年。
そのころは、日本での個人向けのインターネットサービスがようやく始まったくらいで、利用者は人口の3%以下だったとか。
江戸川コナン=工藤新一であるということが秘密になっているというのが、物語の大前提なのだけれど、
今作では、世界中の監視カメラをネットワークでつなぎ、
さらに過去の写真などから現在の姿を作り出すAI技術によって、
この秘密が露呈してしまうという展開。
これまでは一部のキャラクターの「なんだか工藤新一に似ている」という、野性的な勘の鋭さという主観的方法だったけれど、
現代では照合率という数値でバレてしまうというところで、
技術の発展を実感してしまった。
コナンや哀ちゃんを決定的な窮地に陥れてしまう技術なのだけれど、
「これ…リアルにありそうで怖いな」と思ったシーンは、黒の組織がこのシステムを使って一枚の写真から政府要人の現在位置を特定したうえで、短時間で狙撃してしまうというところ。
これ、人工衛星をジャックしてシステムにつなぐとか、ドローンと連動させたら、いちいちゴルゴ13を雇う必要なく、要人とか反対勢力を○したい放題、全世界の神になれちゃうやつでは?
黒の組織はこのシステムを
「監視カメラに映ってしまった活動中のメンバーの姿を画像加工して消す」という、今後も地道に隠密活動をがんばっていく方向で使おうとしていたけれど。
このやばめなシステムが生まれた経緯が、一人の技術者(直美)の善意であることに何とも言えない気持ちになる。
直美は日本人とイタリア人のハーフであるため幼いころいじめの対象になっており、それを助けたのが同級生だった哀ちゃんだった。
代わりにターゲットになってしまった哀ちゃんを、また標的になることが怖くて助けられなかったことを悔やみ続けており、
「もう一度彼女に会いたい」という気持ちから開発したという。
照合によって成長した哀ちゃんの姿を画面の中に見つけた直美が、ラボの中で思わず小躍りして喜ぶというシーンに思わずじーんとしてしまった。
今のところAIそのものは感情を持たないから
「過去に私を救ってくれた人にもう一度会って謝りたい」とも
「憎いあいつを見つけて○したい」とも思わず、
使う人の意志に従順に染まってしまう。
最近は、イーロン・マスクがChatGPTについて「社会と人類に深刻なリスク」をもたらす恐れがあるからと開発を半年停止させる提言があるなど、物議をかもしている。
「要するに先を越されたのが面白くないからだろう」という意見もあるし、私には殿上人の考えることは知りようがないけれど、技術を馬に例えるなら、馬が爆走しており騎乗の人は今のところ何とか背にしがみついているけれど「これはいったいどこへ向かっているの?」という感じに思える。
本当は、騎手としての人間が技術と共に成熟していかなくちゃいけないんだろうなと思う。こんなに戦争・紛争してて、一体どうしたらそうなれるのか私には全然わからない。
映画ではジンの兄貴が「くそシステムじゃねぇか!」と言って爆破してくれたけれどね。(ベルモットが裏でまるで使い物にならないシステムであるかのような印象操作をしたためだけれど)
話が大幅にずれたが、コナンと哀ちゃんが海中で一つの酸素ボンベを交代で使いながら手を繋いで浮上していくシーンは美しくて胸がいっぱいになった。哀ちゃんフィルターから見たコナンはこんなにキラキラしてるのね。
コナンと新一を分離させる技術を開発してくれアガサ博士。
他に謎に胸キュンしてしまったシーンは、魚雷の操作がわからないふりをしているキールに対して、ウォッカが「お前そんなことも知らないのか」とぼやきつつ、ちゃんと現場まで行って基本的な操作に加えて、危険な使い方の注意点までちゃん教えてくれているところ。
個性濃い人が多そうな組織で、かなり貴重な人材だと思う。
あと、ジンの兄貴がピンガからのLINE(?)を既読スルーするところ。
せめてスタンプだけでも送ってあげて。
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