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日本人の感性の記憶を思い出す◆『今日、誰のために生きる?』

『今日、誰のために生きる?』という本について
先日動画をアップしたのですが
紹介しきれ なかったことがあったのと
自分の中にもっと落とし込みたい
定着させたいという気持ちがあったため
雑談形式で補足をしました。

効率よく生きたいなら生まれてすぐ死ねばいい

本の帯には
「効率よく生きたいなら生まれてすぐ死ねばいい」と書かれています。

著者でありペンキーアーティストのSHOGENさんは
アフリカ・タンザニアのブンジュ村に
アートを学ぶために滞在していました。

そのホームステイ先の近所に
ザイちゃんという3歳の女の子がいて
ある日ザイちゃんが
「流れ星を捕まえに行きたい」と言いました。
子供からこう言われたらどうするか?というと
ブンジュ村では大人は全員一緒に探しに行くのだそうです。

1時間半ほど探して帰ってきて
「次の日も探しに行く」というので
SHOGENさんが
「流れ星は捕まえられないんだよ」と伝えたところ
帯にあるフレーズを言われたとのことです。

そのお父さんは
「ショーゲン、お前は
 流れ星を捕まえに行ったことがあるのか?」
と聞きます。
SHOGENさんが「ない」と答えると
「ショーゲンはいつも無駄を省いて
 効率よく生きようとしているけれど
 無駄とかしょうもないことの中に
 幸せっていうものがあるのにもったいないな。

 効率よく考えるのであれば生まれてすぐ死ねばいい。
 人はいかに無駄な時間を楽しむのかっていう
 テーマで生きているんだよ。
 お前の心のゆとりはどこにあるんだ?
 お前の幸せは一体どこに行ったんだ?」
と問いかけられたとのことです。

今日、誰のために生きる?

タイトルの
「今日、誰のために生きる?」というのはブンジュ村の挨拶で
夜寝る時には
「今日も自分の人生を生きられた?」と聞かれるのだそうです。

こんな感じでちょっとした挨拶が型通りではなくて
なんだか人生の深いところを問いかけるような内容になっています。

SHOGENさんが村に来た当初、色んな人から挨拶で
「ショーゲン、空を見上げてる?」と言われたんだそう。
そして
「なんでショーゲンはそんなに心に余裕がないの?」
 借金取りにでも追われているの?」
なんて聞かれたそうです。

ブンジュ村の人から見ると
SHOGENさんはいつも心が忙しそうにしているように
見えたのだと思います。

SHOGENさんが徐々に心に余裕が出てきたら挨拶が
「今日、誰のために生きる?」
というものになっていったそうです。

血がつながらない家族

先日録音した動画では
いろんなエピソードを紹介させていただいたのですが
紹介しきれなかったものの中で
すごく素敵だなと感じたエピソードがありました。

ブンジュ村では
5歳の誕生日になったら
家族以外で相談できる大人を
自分で決めるとのことです。

先ほど登場したザイちゃんが5歳になった時
「家族以外で誰に相談したい?」と聞かれたら
「野菜を育てているおばちゃん」と答えたそうです。

村長とザイちゃんでそのおばちゃんを訪ねて
村長さんが
「家族に話せないことがあったらこのおばちゃんに打ち明けてね。
 そうしたらおばちゃんが俺に伝えに来てくれる。
 俺も村長としておばちゃんと一緒に
 ザイちゃんを助けてあげられるからね」
と話したそうです。

ブンジュ村では
家族以外に相談できる大人が一人いると
子供の人生を救うと考えられているためです。

ただ実際に家族以外の誰かに
悩み事を相談する機会というのはあまりないそうで、
というのも村中が「お父さん」「お母さん」という感じで
誰か一人が悩みを抱え 落ち込んでいる
という状態にならないからだそうです。

このエピソードを聞き
子供に対して信頼できる大人が一人必ずいるというのは
本当に素晴らしいし、本当に必要だと感じました。
日本でもそれが実現できたらいいのにと思います。

日本人から教わったこと

ここまで聞くとアフリカのとあるところに
まるで桃源郷のような村があるんだな
いい話だなぁ羨ましい…と
さらっと流れてしまうかと思うのですが
このお話の一番肝になるところというのが
この村に根付いている教えというのが
日本人から教わったものだと明かされるところです。

村人から
「ショーゲンはなんでそんなに心に余裕がないんだ?
 日本人なのに不思議だな」と
ことあるごとに「日本人なのにね」と言われていたそうです。

ただ不思議なことにブンジュ村に来た日本人というのは
SHOGENさんが初めてだったそうです。

村長さんがある日
「実はこの村の先輩は日本人なんだよ」と教えてくれます。
村長のおじいさんが
村で祈祷や御神事を行うシャーマンで
夢の中で時空を超えて日本人と交信して
色々教わっったこと
そうやって教わったことをもとに
村を作ってきたということです。

SHOGENさんはブンジュ村で
心が震える感動をたくさんされたのですが
それらのもとになっているのは
日本人の心であり文化だったということです。

「時空を超えて交信とか
 ちょっとそういう非科学的な話は…」
という方がいらっしゃるかもしれませんが
変な壺を売りつけたりしないので
このまま読み続けていただけたら嬉しいです。

虫の音がメロディで聞こえる民族

シャーマンのおじいちゃんは
「虫の音がメロディーとして聞こえる民族が2民族だけいて
 日本人とポリネシア人なんだ」と話していたそうです。

日本人とポリネシア人の場合
虫の音を左脳…友達の会話に耳を傾けるような「声」として
捉えているのに対して
そうではない民族の場合は右脳…「音」として捉えています。

そのためこんなにハートフルなブンジュ村の人たちであっても
虫の音は雑音にしか聞こえないのだそうです。

SHOGENさんが
「その日本人ってどんな人たちだった?」と聞くと
縦穴式の家に住んでいて
座ると目の高さが大地の高さ、アリと同じ高さになったんだよということ
女性や木の実をかたどった土器を作っていたこと
虫や樹々、木にかかる雨垂れとも会話をしていたことを
教えてくれたそうです。
「おそらく縄文時代と思われる」と
SHOGENさんは話しておられました。

■ 奇跡的に平和だった縄文時代

縄文時代というのは
平和な時代が14000年にもわたって
長く続いたと言われています。

発掘をしますと戦闘用の武器というのは
ほとんど出てこないそうです。

同時代の他の地域において
古代の人骨を発掘すると結構な確率で
殴られてなくなったと思われるものや
矢尻など何か武器が刺さった状態で
発掘されるケースが多いとのことです。

縄文時代の人骨を発掘しても
他殺された状態で見つかるというのはほとんどないとのこと。
縄文のようなケースは奇跡的と言われています。

村長さんは
「日本人の血の中に流れる素晴らしい記憶を呼び起こしてほしい」と
SHOGENさんにことあるごとに伝えてこられました。

というのも
「この世が滅亡するのは日本人に虫の音が聞こえなくなった時
 つまり自然と対話できる人がいなくなった時に
 地球の崩壊が始まる」
とブンジュ村で言い伝えられているからだそうです。

村に来たばかりの頃
心に余裕がなくて
自然を愛しているわけでもないという様子のSHOGENさんを
見て涙を浮かべるおばあさんがいたそうです。

ただSHOGENさんは
平均的な日本人よりも
ずっとハートフルな方かなと思います。

一枚の絵との出会いをきっかけに
それまでの人生を180度変えて見知らぬ国に飛び込んでいったり
小さい子供から図星を刺されたとしても
それを受けとめることもできる方なので。

けれどもそんな方でさえ泣かれてしまうという状態に
今の日本人はなってしまっています。

日本人の良さを思い出す

現在SHOGENさんは
ブンジュ村で体験したこと、学んだことを
少しでも多くの日本人に伝えて
本来の日本人の姿を思い出してもらうための活動をしておられま。

そのために地道に一人一人に声をかけて伝えてきたとのことです。
この地道にというのは本当に地道な活動で
本を書かれた時点でなんと11,938回人に話しかけて
ブンジュ村の話を伝えてきたのだそうです。

これは述べ人数ではなく
たとえ講演会で100人の前で話しても
1カウントと数えている そうなので
その回数、努力は本当にすごいことだと感じます。

今回ご紹介した本は
ひすいこたろうさんというベストセラー 作家さんとの
共著になっているんのですが
SHOGENさんがひすいこたろうさんに話しかけたのは
9,302回目だったとのこと。

ひすいさんとその友人で
温泉でのんびりしていたところに
急に話しかけてきておられて
大変びっくりしたそうです。

ひすいさんは顔を出さないで活動されているので
ベストセラー作家だとはもちろん知らずに
SHOGENさんは話しかけておられたとのことで。

ひすいさんが
「自分たちだけでこの話を聞くのはもったいない」と
急いで YouTubeを撮影し
SNSで発信していただいたおかげで書籍にもなり
私もその貴重な話を聞かせてもらうことができました。

私はTOLAND VLOGさんという方の
Youtube動画がきっかけで知りました。

SHOGENさんとこの広い日本で出会って
話しかけてもらえるなんていう幸せに巡り会える確率は
かなり低いと思うので
こうやって発信力のある方たちが伝えてくださって
本当にありがたいです。

SHOGENさんご自身もYoutube チャンネルを開設しておられるので
興味のある方はぜひご覧になってみてください。

私が確認した時点では16万5000人の方が登録されていました。
SHOGENさんは26万人の登録を目指していると話しておられます。
26万というのは縄文時代で一番人数が多かった頃の数だそうです。

現時点で16万5000人の登録者というのも本当にすごい数で
SHOGENさんがブンジュ村から持って帰ってきた一つの灯火から
一気に光が広がっていくような感覚があります。

この教え、感性が今すごく求められているなと思います。
話を聞いた時にちょっと素通りできないなと感じる迫力があり
こうやってたくさんの人が共感しておられるというところを見ると
日本人の内側に確実にそれに反応するものがあるからだろうと思います。

今の日本人は
ブンジュ村の人が想い描く日本人とは
かけ離れてしまっているかもしれませんが
今でも、秋に草むらに行くと虫の声が心地いいなと感じると思います。

本来不必要な機関というのは退化していくものなので
意識して虫の音を聞いているということはなくても
日常的に無意識に使っている可能性があるなと思います。

直感のことを虫の知らせというふうに言ったり
あと日本語には
パチパチ、サラサラ、キラキラというオノマトペが多く
音を楽しむ感性を高く持っていると言われています。

なんなら音がないものに対してすら言葉にするところもあり
雪がしんしんと降るという言葉がありますが
雪がシンシンシンシンというふうに降ってきたりはしません。

このようにいろんなものが発する声なき声を
常々キャッチして生きているといえます。

道しるべになる

「地獄に落ちたことがある人が
 天国へ至る道を知っている」とも思います。
(現代を地獄と表現するのはちょっとはばかられるかもしれませんが)

ずっと天国にいる人は
「ここに天国があるよ」と呼びかけることができるけれども
地獄にいる人がどうやったらそこにたどり着けるのかという
道を教えてあげることはできないかなと思います。

それができるのは一度地獄に落ちて
天国に至った人であり
そういう人であれば
「そこに落とし穴があるよ」とか
「そこは近道と見せかけて遠回りだよ」と
教えてあげることができます。

日本人はずっと柔らかな感性のまま
ハートを開いたままでは
とてもじゃないけどいられなかったという経験を
多くしてきたと思います。

強くならなければ植民地化されかねなかったり
幾多の戦争、大災害
あるいは経済大国になってバブリーに過ごしたかと思ったら
失われた20年を過ごしたり…と色んな経験をして
柔らかい心のままではいられなかったというところもあります。

ただそこからもし回復していくことができたのだとしたら
世界の他の人たちを同様に導くことができるということだと思います。
一度堕ちてみるということも含めて
縄文時代から続く壮大なミッションなのではないかなと感じました。

じゃあ自分はと言いますと
ブンジュ村の人に今の自分の姿を見せると
泣かれるどころが絶望されてしまうなと思うので
これから思い出し、取り戻していきたいと思っています。

日常丁寧に味わってみたり
自然に触れたり
その声を聞く機会を増やすこと
空の変化を眺めてみること
そして何より自分のために生きるということを
していきたいなと思っています。

タイトル画像:UnsplashのHu Chenが撮影した写真

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