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今こそ角交換のない相振りを!

流行りは角道クローズ相振りである

いま最新の相振り飛車の棋書は『角交換相振り飛車 徹底ガイド』だと思われる。

確かに、相振りの最先端は角交換相振りだという時代があった。

しかし、流行は巡る。今はふたたび角交換をしない、片方が角道を止める相振り飛車がアツい!(……と筆者個人は思っている)

特に、今回は先手が角道を通したままにし、後手が△4四歩で角道を止める先手オープンVS後手クローズのパターンに注目した。

3手目▲7五歩の場合

先手が角道を通したままにする、角交換含みの相振り飛車は、いくつかの出だしが考えられる。

まずは3手目に▲7五歩と突く石田流のオープニングから。

これはシンプルで、先手クローズVS後手オープンのパターンを先後逆にしたような格好になる。

▲7八飛△4二銀▲6八銀△4三銀
▲4八玉△3三角▲3八銀△2二飛

一例はこんな感じだ。

これは後手が損をしていると見られていた形だが、さいきん後手でこの形に挑戦する人が見られるようになった気がする。

角道クローズの向かい飛車が、AIの影響もあって見直されているのかもしれない(これは筆者による雑な推測だ)

形勢は一局としておく。

初手▲7八飛の場合

次に初手▲7八飛を。
相振り飛車においては、このオープニングも角交換含みである。

初手から見ていく。

△3四歩▲6八銀△3三角▲7六歩
△4四歩

この出だしでは、後手も角道を止めず角交換になることが多いはずだ。

ただ、△4四歩と止めてしまうのもじゅうぶん有力だと思う。

▲4八玉△2四歩

先程のケースとの違いは、先手が▲7五歩を保留できる点だ。

先手の作戦の幅が広がり、後手が普通に進めると先手がペースを握りやすくなると思う。

そこで、この△2四歩が工夫の一手だ。

▲7五歩△4二銀▲3八銀△4三銀
▲3九玉△2二飛

後手は△4二銀と△4三銀を省いて飛車を振ろうとしている。
それは▲7五歩保留と後手の△4三銀省略がそれぞれ主張になるため、先手がペースを握れる展開でもないと思う。

先手は▲7五歩を突いて早い動きを見せるのが自然だが、そこで△4二銀とするのが後手の狙いだった。

こうなると、普通の形に戻ってしまい、先手が▲7五歩の保留をできなかった結果になる。これはやはり一局

先手としては、もうちょっと良くしたいところだろう。

戻って、▲7五歩のタイミングを工夫してみる。

早く▲7五歩を突くと後手に手を戻されることを考えると、先手は△2二飛を待ってから歩を突く必要がありそうだ。

▲3八銀△2五歩▲3九玉△2二飛
▲7五歩

こうなると▲7四歩△同歩▲5五角のような揺さぶりもあるため、△4二銀と上がりにくくなっている。

先手の早い動きが成功しそうな格好だが、そうでもないのである。

△2六歩▲同歩△同飛▲2七歩
△2二飛▲7四歩△同歩▲同飛

後手はじっと飛車先の歩を交換した。この一歩が後々で効いてくる。

△7三歩▲4四飛△4三歩

▲4四飛で先手が歩得に成功したようだが、△4三歩と打たれて痺れている。激痛打だ。形勢は後手ヨシ

6八銀型だったため、角が浮いていた。この歩得狙いの筋は7九銀型じゃないと成立しないようだ。

しかし、▲6八銀は序盤に必要な手である。
保留するのも難しいと思う。

けっきょく先手は早めに▲7五歩を突くのが無難ではないか。しかし、それなら形勢は一局で、後手としても戦えると思う。

3手目▲6八飛の場合

最後に角道を止めずに▲6八飛とするオープニング。この手も角交換型相振り飛車にする含みがある。

ここでは△4四歩もあるが、それには▲4八飛のような居飛車に戻す手もあって、すこし面倒だと思う。

△4二飛▲4八玉△4四歩

△4二飛は後で向かい飛車に振り直すと途中下車の手損になるのだが、相振りを目指すなら無難ではないかと思う。

後手は▲4八玉を見てから△4四歩と止める。

ここで先手にはいくつかの指し方が考えられる。

四間飛車を生かすなら、6筋の歩交換が考えられる。

▲6六歩△3二銀▲6五歩△4三銀
▲6四歩△同歩▲同飛△5四銀
▲6八飛△7二銀

ざっと進めたが、先手のこの動きは意外と大したことないと思う。
一歩持つのは大きいは大きいのだが、手数がかかりすぎている気もする。

これは一局ではないだろうか。先手がペースを握りやすい展開でもないと見る。

戻って、先手の別の指し方を見てみる。

三間飛車に振り直すのはどうか。

▲7八飛△3三角▲3八銀△2四歩

ここでも△2四歩の工夫があり、前述の変化と似た形になる。

こうなると、やはり先手は▲7五歩を伸ばすくらいだ。

▲7五歩△3二銀▲6八銀△4三銀
▲3九玉△2二飛

この展開は一局
先手が三間飛車に振り直すなら、後手も戦えると思う。

戻って、もう一つ先手の指し方を見ていく。

四間、三間と来て、今度は向かい飛車にするのはどうか。

▲7七角△3三角▲8八飛△8二銀
▲8六歩△7四歩

▲8五歩△7三銀▲6八銀△3二銀
▲3八銀△4三銀▲3九玉△2二飛

後手は矢倉に組む。向かい飛車からの8筋の歩交換を防ぐことができたといえる。

これも判断が難しいが、後手が悪いということもないと思う。これも一局とする。

今こそ角道を止めよう!

3つのオープニングの相振り飛車のケースを見たが、後手は角道を止めても不利になることはなかった。

一局の形勢にしかならない作戦ではあるのだが、角交換型と角交換にならない形との選択権が後手にあるのが大きいと思う。
角交換型相振り飛車が好みだという人は、引き続き角交換を歓迎していけばいいだろう。

ただ、角交換のない相振り飛車のほうが好みだという振り飛車党も少なくないのではないかと思う。そういう人は角交換にならない形を選ぼうというのがこの記事の言いたかったことである。

どんどん角道を止めて行こうぜ


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