簡単! 後手急戦矢倉(1/3)

相居飛車の講座をやるのが将棋Vのあいだで流行っているそうだ。私もそれらの配信や動画を見ている。

そのうちの一つのものに、筆者がツイッターにて、下品な方法でツッコミを入れたところ、お叱りを受けるような格好で「お前も講座をやれ」という流れになった(ような気がする)。

そこで、筆者が急戦矢倉の講座に挑戦することとなった。なぜなら、将棋Vには矢倉を担当しそうな人が少なく、それが急戦矢倉となればほぼいないと思われるからだ。

対象棋力は、中級~初段くらいをイメージしている。

前置き~矢倉の5手目

初手からの指し手
▲7六歩 △8四歩 ▲6八銀 △3四歩

矢倉を目指す時、先手はここで角道を止めることになる。角交換を拒否し、しっかりと矢倉囲いを作れるようにする。

角道を止める手段は▲6六歩▲7七銀の二通りが考えられる。

  • ▲6六歩は6筋に争点ができる

  • ▲7七銀は5筋が薄くなる

のが特徴だ。

ここから、後手が急戦矢倉を目指す戦いを見ていくが、この二つの特徴を利用するのが後手の狙いになる。

矢倉中飛車

▲7七銀

まずは後手が薄くなった5筋を狙う手段を紹介していく。矢倉中飛車だ。

手順を長手数書くが、細かいところは流して読んでも大丈夫だ。

△6二銀 ▲5六歩 △5四歩 ▲4八銀
△4二銀 ▲5八金右 △3二金 ▲7八金
△4一玉 ▲6九玉 △7四歩 ▲6六歩

途中図

△6四歩 ▲6七金右 △6三銀 ▲2六歩
△7三桂 ▲2五歩 △5二飛

6三銀型を作り、それから△5二飛と回って中飛車にするのが、この急戦の駒組みの第一歩。

一つ注意する必要があるのは、△5二金や△6二金と金を上がらないことだ。飛車を5二に振るために、二段目を開けておく。

▲7九角 △5五歩 ▲同 歩 △同 飛
▲5六歩 △5一飛 ▲2四歩 △同 歩
▲同 角 △2三歩 ▲6八角

途中図

△6二金 ▲4六歩 △5四銀 ▲4七銀
△3一玉 ▲7九玉

このあたりは駒組みだ。かなりの長手数なので、目指す形だけ見ておく感じで大丈夫だ。

要点は

  1. 5筋の歩交換をする(5四の歩が手持ちになる)

  2. △5四銀と上がる

の二つである。

後手はこの形に組めば、△5五歩▲同歩△同銀から5筋を突破する狙いができる。

5筋を突破する一例

先手が▲4七銀としてきたのは、5筋を突破させないためである。

再掲

後手のもう一つの狙いが6筋の攻めだ。5筋の数が足りなくても、6筋から攻めていける。

△6五歩 ▲同 歩 △7五歩 ▲同 歩
△6五銀 ▲6六歩 △7六歩

このような展開が一例で、こうなれば後手の攻めが刺さっている。

なお、5手目が▲6六歩だった場合は、矢倉中飛車はうまくいかないとされている。

手順は割愛し画像のみとするが、▲7七銀の一手を省略して、中央を薄くしないままで対応できるのが大きい。

先手陣はいかにも中央が厚い
先手が先に攻める展開になってしまった

左の銀が6八にいるだけで、中央に強い陣形になっているのだ。

右四間飛車

次に5手目▲6六歩への急戦矢倉を紹介していく。右四間飛車にして、6筋の争点を攻めるのが攻めの方針となる。

▲6六歩

また長手数になるので、流して読んでほしい。

△6二銀 ▲5六歩 △6四歩 ▲7八金
△6三銀 ▲4八銀 △5四銀 ▲5八金
△6二飛

腰掛け銀の形を作り、△6二飛と回れば右四間の基本形は完成だ。

▲6七金右 △4二玉 ▲7七銀 △3二銀
▲6九玉 △5二金右

途中図

▲2六歩 △7四歩 ▲2五歩 △7三桂
▲7九角 △3一玉 ▲2四歩 △同 歩
▲同 角 △2三歩 ▲6八角


右四間の時は、囲いは左美濃がおすすめだ。飛車を切る攻めを決行しやすい囲いで右四間との相性も良い。

左美濃に組み、桂も活用したら準備完了だ。狙いは△6五歩。あとは6筋から仕掛けるだけである。

駒組みの注意点は、△8五歩を保留すること。△8五桂と跳ねる手が可能だったほうが、6筋からの攻めがより強力になる。

△6五歩 ▲同 歩 △7五歩 ▲同 歩
△6五銀 ▲6六歩 △同 銀

以下は飛車を切って角を残そう

これは一例だが、こうなれば後手の攻めが刺さったと言える。

右四間の短所は、狙っている場所が一箇所だけだということだ。

5手目が▲7七銀だった場合は、先手は6七歩型で6筋に争点を作らない駒組みが可能だ。なので、後手は右四間にしても攻める場所がなくて困ることになる。

まとめ

まとめる。

  • 矢倉の5手目は二種類ある

  • ▲7七銀には矢倉中飛車

  • ▲6六歩には右四間飛車

矢倉中飛車が5筋を狙う手段だった。

そして、右四間飛車が6筋の争点を攻める手段だった。

後手は先手の5手目の特徴に合わせて、有利な攻め方を選ぶのがポイントだ。

というあたりで、今回の記事は終わりとする。ちなみに、講座は全3回を予定している。

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