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現代語訳『古事記』ではわからない『古事記』の話

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『古事記』って何が書いてあるんだろう?
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#日本神話

解凍方法の開陳(現代語訳『古事記』では分からないこと 12)

『古事記』冒頭は、ほぼ神々の名前が列挙されるだけなので、書き下し文や現代語訳を読んでも意…

神辺菊之助
2か月前
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現代語訳では分からない天之御中主神/アメノミナカヌシ・誕生編(対話『古事記』2)

稗田阿礼は、元明天皇に命じられ、その孫の首皇子に、天武天皇に授かった『古事記』の冒頭に書…

神辺菊之助
2か月前
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日本書紀の天地開闢と古事記の天地初発はどう違うのか(対話『古事記』1)

元明天皇は、孫の首皇子のために『古事記』を完成させ(*1)、稗田阿礼に天武天皇から伝えられ…

神辺菊之助
2か月前
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『古事記』を世に出した女性天皇(現代語訳『古事記』では分からないこと 11)

■『古事記』を世に出した天皇 『古事記』は第40代の天武天皇が着手を命じたまま、逝去によ…

神辺菊之助
3か月前
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稗田阿礼の隠された役割り(現代語訳『古事記』では分からないこと 10)

■スピリチュアル天皇の苦悩 『日本書紀』の評伝にも書かれているとおり、天武天皇は今の言葉…

神辺菊之助
3か月前
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天皇だけが知る『古事記』冒頭の意味(現代語訳『古事記』では分からないこと 9)

■『古事記』冒頭の意味不明さ 原文(書き下し文)を読むと明らかなのだが、『古事記』は、冒…

神辺菊之助
3か月前
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なぜ、『古事記』は天武天皇の逝去後に放置されたのか(現代語訳『古事記』では分からないこと 8)

■放置された『古事記』 天武天皇によって681年に開始された『古事記』のプロジェクトは、天武天皇の逝去によって686年に中断し、元明天皇によって25年後の711年に再開される。 元明天皇によって再開された『古事記』は、わずか四ヶ月で完成している。たったの四ヶ月で完成できる『古事記』が、元明天皇に至るまで完成しなかったことは、その間に『古事記』が放置されていたことを意味する。 これはなぜなのか。 『古事記』は、天武天皇が大津皇子の即位を期待し、継承するために作られたと

『古事記』は何のために作られたのか(現代語訳『古事記』では分からないこと 7)

■『古事記』製作過程の謎 『古事記』は、諸家に伝わる帝紀(諸天皇の一代記)と本辞(神代…

神辺菊之助
4か月前
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暗号のような『古事記』の冒頭をどう読むか(現代語訳『古事記』では分からないこと 6…

■現代語訳では『古事記』の冒頭は分からない 『古事記』は漢字のみで書かれており、しかも…

神辺菊之助
5か月前
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『古事記』の描く世界のはじまり(現代語訳『古事記』では分からないこと 5)

[前の記事はこちら] ■天地初発 「あめつち(天地)はじめて発しし時」とは、いったいど…

神辺菊之助
5か月前
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本当は違う『古事記』と『日本書紀』の世界(現代語訳『古事記』では分からないこと 4…

■『日本書紀』の「天地開闢」は外来思想である 『古事記』の世界創生譚(世界のはじまりが…

神辺菊之助
5か月前
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『古事記』を神学的に読むと見えてくる次元(現代語訳『古事記』では分からないこと 3…

(一部加筆修正しました。2024/3/1) ■神学の力 神道には、教義も経典もない。あるのは儀礼…

神辺菊之助
5か月前
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あえて聖なる書として『古事記』を読む(現代語訳『古事記』では分からないこと 2)

[前の記事はこちら] ■『古事記』の封印を解く 『古事記』を聖なる書物として読むこと。…

神辺菊之助
5か月前
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古事記をもう一度あたまから読んでみる(現代語訳『古事記』では分からないこと 1)

■はじまりの古事記 「天地初発之時、」から『古事記』は始まる。 「あめつち(天地)はじめて発しし時」である。 「天」は「あめ」、「地」は「つち」とそれぞれ読む(訓む)のが慣わしだ。 大和ことばは、全身の感性を呼び起こす。 にわかに降り注ぐ雨と、土の匂いが、鼻の奥に入り込んでくるような感じ。 足裏に感じる柔らかい土と、はるか上空から打たせ湯のように身に注ぎ重力の存在を思い知らす雨の、柔と剛の触感。 淡い景色が段々とはっきり見えてくる様が、「発し」(*1)という