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ミス・ミスター備忘録 〜クレイトンさん【後編】〜

誰でもわかる【前編】のあらすじ

ミスター慶應理工コンテスト2019グランプリという肩書きを提げて、ミスターSFCコンテスト2021のファイナリストになったクレイトンさん

ここ数年急激に伸びているミス・ミスターSFCのファイナリストや運営の人たちを見つつ、『ファイナリストとして』のみならず『裏方の裏方』として活躍し、一言で語るのは難しいほどに強い絆が、ファイナリスト同士、そしてファイナリストと運営との間に生まれるまでに至りました!

【前編】はこちらから⏬


今回【後編】では、『その後フィナーレのスピーチで何を語ったのか』、『そして彼はミスターSFCファイナリストとしての期間を終えて、どこに向かうのか』『彼が定義するミス・ミスターとはなにか』を深掘りしていきます!

◆ミスターSFCフィナーレでのスピーチ

自分のやりたいことを企画を通して実現にまで持っていった運営の頑張りを間近で見てきたクレイトンさんですが、【前編】でたびたび話題に出ていたフィナーレでのスピーチの原稿をそのまま載せますね。

白衣への愛を語る、そんなスピーチにしようと思っていました。今日まで活動を見てくれた皆さんはそんな予感がしていたかも知れません。いつも応援ありがとうございます。しかし、期待を裏切ることになります。

当初、僕の目標はかっこいい白衣を発信すること。そして、白衣の伝道師として、僕が成功すること。

しかし、僕の発言を逐一聞いてくれる。実現しようと無心になってくれる。そんな運営陣に囲まれて、次第に僕の活動は、「ミスミスターSFCを成功させたい」という目標に向いていきました。

きっとどのファイナリストよりも運営に近い人間だったと思います。だから…知っています。
ファイナリストのサポートと、見てくださる方々への配慮と、企業の皆様への対応とを同時にこなすことの、大変さを。

今配信を見ているお父さんお母さん、ご兄弟やお友達、今日までファイナリストたちを支えてくれたファンの方々。ファイナリストがどれだけ頑張って来たかは貴女方が一番よく知っています。同様に、僕は知っています。ここには立っていない、しかし等しく頑張ってきた人達のことを。このコンテストの成功の為に毎日戦ってきた仲間達のことを。

もうすぐ僕のスピーチは終わります。どうかこの後の拍手は、最大の音量で、彼らに向かって与えてくれませんか。彼らに対する多大なる感謝と敬意を込めて。

エントリーナンバー5番、クレイトン。
ご清聴、ありがとうございました。

そんなスピーチをフィナーレの際に披露しましたが、そのスピーチが完成に至るまでの裏話もしていただきました。

クレイトン(以下🥼):
スピーチをフィナーレでするという話は、ファイナリスト全員が一番最初に言われていました。僕は、コンテンツ的に白衣の話をするだろうと思っていて、ただ運営から本当にスピーチが必要ですよと念を押された時に、白衣の話は確かに僕の話ではあるけど、それ以上にアピールタイムを使って運営の話をする価値があるなと思いましたね。実際に今回のミスターSFC出る前と出た後で変わったことってなんだろうと考えた時に、運営見ているか見てないか、そして視野が広くなったことだと気づいたこともあって、それでその話にしましたね。

− 基本的にミスコン通じてこれだけ成長ができましたとか、なんか大変だった時もファンの皆様が支えてくれたおかげですみたいな話が結構多いですよね。

🥼:
多いですし、おそらくそういうスピーチをしてくれと言われた気がします。
普通みんなが思いつくスピーチってそういうものなんですけど、だからこそ僕は逆を進みたいなと思いました。みんなの記憶に残んないなと思って。 

− 明らかに入りから違いましたけどね。クレイトンさんのスピーチ来るぞって思っていたら、一言目聞いて、おっと??となりますよね。

🥼:
僕が読書好きということに繋がるのですが、原田マハさんの『本日はお日柄もよく』をちょうど先月頭に読みまして、そこから来ているものになります。
この本のあらすじとして、主人公が結婚式場に行ったところ、つまらないスピーチが最初に出てきてしまい、眠すぎて結婚式場で寝てしまったんですよ。しかし、その後ある女性が最後にスピーチをするのですが、主人公はその女性のスピーチの良さに感動して弟子入りするって話ですね。それを読んだ後だからスピーチ面白いな、僕は絶対記憶に残るスピーチやりたいと思いまして、入りは絶対に 『応援してくれてありがとうございます』なんかじゃ嫌だった。だから『白衣への愛を語る、そんなスピーチにしようと思っていました』で。

− ミスターSFCファイナリストの中で1番スピーチらしいスピーチをしていましたもんね。

🥼:
これのためにスティーブ・ジョブズとマーク・ザッカーバーグのスピーチを参考にしましたね。

− だから1人だけTedみたいだったのか(笑)

🥼:
今回のポイントなんですけれども、気づいた方いるか分かんないんですけど、フィナーレ前日のインスタの投稿から伏線があって、、、

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🥼:
今回の僕のテーマは『知っています』だったんですよ。
「貴女方が一番知っています。」って一番最初に言って、でも同時に親近感もってほしいから、「同様に、僕は知っています。」という箇所で、同じ熱量で僕も知っていますよということを伝えました。

− 国語偏差値85の文章ですよ(笑)

🥼:
どれだけ引っかかる所を作ることができるかというところがあって、最初に出だしでジャブを打って、あとは「知っています」で畳み掛けて、観客にどれだけインパクトを与えられるかですね。当日気づいてくれたらいいなと思って、繰り返し前日から言ってました。

ファンの方に対して感謝の言葉を述べるのが一般的なスピーチにおいて、あえてファンの方に呼びかけるスピーチを披露したクレイトンさん。
『裏方の裏方』として、ファイナリスト・運営全体を見渡しながら戦ってきたファイナリスト期間を振り返った中で、コンテストを遂行し支え、一緒に走り抜けてきた運営にもスポットライトを当てるようなそんなスピーチは、皆さんの心にも強く残ったのではないでしょうか。

◆今後の指針

− ミスターSFCファイナリスト期間を通じて、コンテンツの話・団体を運営していくコツ・「大人になる」とはみたいな話などを学んできたかと思いますが、今回学んだことを踏まえて、今後のビジョンや残りの大学生活の方向性、もしくは将来社会人で何をしたいといったものはございますか。

🥼:
白衣の私服化っていうのは進めていきたいです。白衣は可能性あるものだと思っています。実際僕は、最初白衣が超好きだったかと言われたらそういうわけではなかったですが、次第に結構いいなと思い始めていて、今では普通に愛がありますね。これからも白衣をやっていきたいですし、いずれかそれは販売まで持ち込んでみたいな思っています。

🥼:
2回ミスターコンを経験して感じたこととして、ミスコンって学生が簡単に輝ける場だったんですよ。自分の好きなものを発信できる場、有効活用できる場だったんです。実際に(山田)璃々子さんはお茶について発信していましたし、(手塚)季史子さんはメイクで万バズしていましたし。

− (石井)涼さんも自衛隊って感じがありましたね。

🥼:
だからこそ僕はそれを守りたいと思っています。今後はコンテストってのはこんな素敵な場所なんだよという発信はして行きたいですし、これからのミスミスターSFCもどんどん盛り上がっていってほしいです。

🥼:
それだけ好きなことを発信して、しかも何がいいかって、いい意味で要求されるレベルが低いんですよ。例えば僕が服飾コンテストなんかに出た時にはまあボロ負けするし霞みますよ。僕は服飾の天下一武道会には出られないですが、ミスコンだったら発信できるし見て貰えるチャンスも大きいです。僕はそういうコンテストがあってもいいんじゃないかと思います。
戦わなきゃいけないという面でのみ捉えるのではなく、自分の好きなことを発信して、それを見てもらえるという場でもあることが、僕はミスコンの重要なところだなって思っています。あの本来の質問の回答ではないですけど、それを守りたいというのもあります。

そんなクレイトンさんは、あるミスコンを紹介してくれました。

🥼:
ミス日芸って毎年テーマが違うんですよ。ただ、2019年のミス日芸が、『地獄』みたいなテーマだったんですよ。この宣材写真見てほしいです!

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− 歌舞伎?(笑)

🥼:
こんな世界観爆発させる?っていう。もうね面白すぎるんですよ(笑)

− 下スクロールするとさ過去のやつ出てくるじゃないですか。過去のやつもすごいですよね。特にミス日芸2018ミス日芸2017

🥼:
これは面白いですよ。こういうミスコンどんどん増えてもいいと思いますよ。

− それこそクレイトンさんがコンテストにしろファッションショーにしろ運営してみるのはどうでしょう。

🥼:
去年ぐらいまで僕はミスターコンの運営やりたかったんですよ。でも僕がそういって運営を変えてめっちゃいいミスター作ったら、僕が出たくなりますね。

− 選手兼任監督みたいな(笑)

🥼:
いや僕忖度ですよ(笑)
忖度できちゃうからそれは意味がないんですけど、そんないいコンテストがあったら僕が出ちゃいたいですよ。

− まあミスコンのような優劣つける系は(出たくなるようなので)ダメですね。優劣つけない系がちょうどいいのかもしれませんが、、、

🥼:
運営大変そうだなってのもありまして、運営を見てきて大変さを知ってるから、あんな大変だったらやらんでいいわみたいな気持ちにもなりますね。

− ファッションショーやコンテストに出るにしても演者として出るより、こう優劣が少ないやつでエキシビジョンマッチみたいな感じで出てくるとかどうですか。

🥼:
それによるならですけど、例えば審査員やりたいですね。
ミスコン大好きなんで割と忖度しないですね。ファッション白衣の着こなし審査みたいなのでコーデ決めてもらって、で誰が1番カッコよく白衣を着こなせるかどうかで決めるとか。それを僕が白衣大好き人間として出たら絶対に公平につけますね。
超公平に審査するので色んなコンテストに呼んでほしいです。これはもうどんなに友達が出ていようと公平につけます。

🥼:
それともう一つ、今回のミスコンで運営方法を学んだので、うちの団体(Sparkle Ways Project)に持ち帰って、よりいい団体にして行きたいなって思います。

− 内部の盛り上がりをさらに高めていくという感じですね。

🥼:
っていうのをどんどん深めて、やる気のある団体にして、なんて思って。あとはまあ勉強ですね。

− 課題頑張ってくださいね。

今回学んだことのうち、運営の仕方、組織のまとめ方などは、Sparkle With Projectの活動に今後も生かしていきます。またそれだけでなく、ミスミスターのコンテストが『自分が輝ける場所、個性を発揮できる場所』であると認識したことを踏まえ、OBとしてさらに盛り上げていくとのことです。
白衣の私服化も楽しみですね。白衣をファッションにするのはありそうでなかった発想なので。


− 憧れの人とか、憧れの自分像みたいなものはございますか。

🥼:
好きな芸能人の話をされた時は、必ず挙げる人がいるんですよ。それが手越祐也君でして。
僕は勉強はそこまで嫌いじゃなくて、むしろやり続けられるほどには勉強好きで、GPAもまあまあとっています。
ミスターをやりながら勉強もこなして、今回はコンテンツ力を高めて、 白衣の染色もやりました。うまくはいかなかったですがビジコンに出ましたし、自分で団体も運営しています。
一方で、手越祐也くんって歌できますし、ダンスもやりますし、カッコよくてバラエティもできるんですよ。それも全て一流で。
手越くんみたいに、自分のやりたい分野をしっかりやって突き詰めていきたいですね。そういう人間には憧れます。

− それは ある意味今も昔も変わらずという感じですか。

🥼:
変わらずですね。
ただ、多分ですが同じ人物ではあるけど感じ方が変わってきてると思います。かっこいいなみたいな感じだったですが、それがあんなにいろんなことできるのが凄いなという気持ちになっていますね。

− 1ファンとして見ていたものが、めちゃくちゃすごいという、ある意味尊敬に近い感じになっているんですね。

🥼:
そういうことですね。


◆ミスミスターのイメージの変化

− ミスターに2回出てますけど、元々の入学する前に抱えていたイメージからの変化みたいなのはございますか。インフルエンサーのファーストステップみたいに元々思っていたところがどうなったかみたいな話をお聞きしたいです。

🥼:
ミスミスターは、ファイナリストになればそれだけで箔が付くので無条件にみんな見てもらえます。だから、箔を利用して脳死で活動しても成立しないことはないんですよね。例えば24時間配信するとか、 相互投票を何十人何百人と集めることで、戦えてしまうんです。
でも確かにそれは頑張っているけれども、それって正しいコンテストのあり方なのかなとは思いましたね。それでグランプリを取ったとて、そのグランプリは何の価値があるんだろうと思います。何か発信したいことがあってミスターコンに出たんじゃないの?そして大学の中で一番輝いている人を決めるコンテストなんじゃないの?となりますね。

🥼:
彼らは、『大学の中で一番輝いている人』という称号を手にしたにも関わらず、結局自分の持ってるコンテンツを届けられない、『勝ってしまった』という状態だと思います。
僕はその『勝ってしまった』が残念なんです。受験とかで勉強しなくて落ちたら、これはもう全然僕勉強しなかった、だめだなってなりますよね。勉強して受かったのも言うまでもなく問題ないです。勉強したけど落ちたというのも悔しくはあるが前に進めるんです。
ただ、勉強しなかったけど受かった場合は、虚無感があると思うんですよね。「ああ何のためにやったんだろうみたいな」とか。

🥼:
僕はさらにそのミスコンの愛があるからより一層もったいなく感じてしまいます。このミスコンのファイナリストの期間にどれだけ発信する機会があったか。どんなに発信の質が低レベルでもファイナリストという箔で見てくれるファンがいたか。ファイナリスト期間が終わってしまった以上もう見てくれないですよ。

− そうですね。個人に応援するファンもいれば、ミスコンだから、ミスターコンだから応援するというファンもいますよね。
🥼:
そうですね。しかも今回ファンになってくれた方も来年には離れるかもしれないですよね。ミスコンのファンの方も一定層いて、今年のミスコンはあなたが推しだけど来年のミスコンは他の人が推しということもあります。そのファンにとってはコンテストに参加している人を優先的に応援するのは当たり前の話で、そのファンがもう見てくれなくなります。だから一番見てくれる瞬間はコンテスト出ている時です。
ミスミスターは、自分のやってることがどんなに低レベルでも全部見てくれて全部すごいって言ってくれる、そんな素敵な舞台です。自分の好きなことを発信するインフルエンサーになりたいのであれば、もっと自分の好きなことをたくさん発信してもっと有効活用したほうがいい。中にはコンテンツを持っているのにそれを生かさない人もいるので、それはすごく悲しいと思います。

− ミスミスター取ってからが本番って所がありますね。

🥼:
それもありますね。

− それをミスミスターグランプリ取ることが照準です、もしくはファイナリストになることがゴールですという人もたまにいて、それがもったいないよねっていう話ですよね。

🥼:
そのいい例として、ミスコンのグランプリがとれなかったけど、自分の味をどんどん出して発信して、活動を続けていって仕事にできた人がいるんですよ。舩越初芽さんとかめちゃくちゃ好きです。

− 改めてミスター出て、こういうのを目の当たりにして、過去の自分と重ね合わせたりはありましたよね。そこはまた今回のミスターを踏まえて、外からも見てみて新たに学んだことですよね。

🥼:
割と僕は去年の時点で、ああ最初のミスターの僕はおもんなかったなって思います。

ミスター慶應理工のファイナリストに選ばれ、セオリー通りの戦い方でグランプリを獲得しましたが、その後自身の望むようなインフルエンサーになりきれず悩んでいた日々があった過去があるからこそ、自分の個性を生かすことなく悪い意味でセオリー通りの戦い方をした人には思うところがあるようですね。
ミスミスターファイナリスト期間の終了、そしてグランプリの発表はあくまで一つの区切りではありますが、それと同時に新しい自分、理想の自分の姿への第一歩でもあります。どんな戦い方であれ、ここから先は土俵を作るところからの勝負になります。現実として、ファイナリストの箔はなくなるだけでなく、グランプリの称号も年を経るごとに廃れてしまいます。鮮度が一番いいのは今後わずか1年間です。

今自分が持ちうる武器の数や質は人それぞれではありますが、そこから先どう戦っていくのか、クレイトンさん含めて私はすごく楽しみな部分ではありますし、皆様にはさまざまなフィールドで活躍していただきたいと思います。

◆あなたにとってミスミスターとは

− 最後、あなたにとってミスミスターとはどういう場だと思いますか。ミスミスターのファイナリストとかその携わる人ってどういう人みたいな話でもいいですが。

🥼:
学生が好きな発信をして輝ける場だと思います。だから、ミスミスターは表現者であってほしいです。何も手持ちカードがない状態で飛び込むともったいないなって思いますし、正直思ってるより注目されない気はします。ミスコン・ミスターコンのファイナリストになっただけで、モデルになれる、芸能界に入れるなんてもう微塵にも思わない方がいいと思います。

− ファイナリストになったら勝ち確、というわけではないですよね。

🥼:
そこでコンテンツ力もある人が芸能界に入れているだけで、ミスコン・ミスターコンのファイナリストになってもそこまであなたの世界は変わらないと思います。だから僕はミスミスターっていうのは、完成度を気にせず自分の好きなものを発信できる表現者だなって思いますね。

まとめ

今回はミスター慶應理工2019グランプリ、ミスターSFC2021グランプリのクレイトンさんに取材させていただきました。
実は取材音源が2時間半もあり、文字起こしをしたら37000字もあって、それだけ盛り上がったインタビューになりましたね。

クレイトンさんは理工学部の方ではありますが、コンテンツや個性に対しての考え方は、すごくSFC的な部分もありましたし、こういったメディアを運用している身としては非常に共感できる部分もありました。SFCのミスターに出る前か出た後かにはよりますが、こうしたSFCの環境が彼の考えに影響を与えていたのかもしれませんね。

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