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点字ブロックを塞がない悪

「点字ブロックを塞がないようにしましょう」

1967年3月18日に岡山県にて世界で初めて点字ブロックが設置されてから56年[1]、今や日本中どこに行っても見かける点字ブロック。
多くの人は小学校の頃から「点字ブロックは塞がないように」と習ってきたことでしょう。

視覚が不自由な方にとっては生活に欠かせない点字ブロック。
ただその一方で、点字ブロックにより通行に支障が生じる方々がいます。

車椅子を使用している方、歩行補助車を使用している方、ベビーカーを使用している方、足腰等の疾病により荷物を背負えずキャスター付きのカバン(スーツケース等)を使用している方、歩行時に片足を上げることが難しい方、など様々です。

多くの方にとっては点字ブロックを便利なものとも不便なものとも感じることなく、あまり意識したことすらないかもしれません。

しかし、車椅子の方にとっては「点字ブロックの凹凸によってキャスターの向きが変わるため進行方向が定まらない」「振動のために体位が安定しない」、歩行補助車を使用している方にとっては「車輪が引っかかる」「凹凸の上を歩くと足が痛い」など様々な問題があります[2]。

実際僕自身車椅子を使用していたことがありますが、思っていたより振動が伝わる上、前輪が引っかかり走行が難しくなったりつんのめってしまったりしてしまうことがありました。(一度180度向きを変え、後輪で乗り越えるように後ろ向きで走行するなどの工夫もありますが、後ろ向きで走行するのは結構怖いです。)
キャスター付きのカバンの使用もありますが、上記の事情で使用している場合は持ち上げることが不可能であるため、キャスターが引っかかり上手く進むことが出来なくなります。
これ以外にも、松葉杖などでバランスを崩してしまうことなどもあり、点字ブロックは人によっては多くの障壁ともなってしまう存在です。

"点字ブロックではない部分"を塞いでしまう問題

「点字ブロックじゃないところを通ればいいだけじゃん」
そう思う人もいるかもしれません。

今回特に取り上げたいのは、駅のホームの狭い箇所・狭い歩道・狭い通路などにおける状況です。

多くの人は、「点字ブロックは塞がないように」と昔から習ってきたことから、どこかで立ち止まる時、ほぼ無意識のうちに点字ブロックではない部分で立ち止まっていると思います。

しかし、上で挙げたような狭い場所(特に駅のホームなどの"待ち"が発生する場所)で点字ブロックを塞がずに立ち止まった場合、点字ブロックではない部分をほぼすべて塞いでしまうという状況が生まれてしまう可能性があります。

大抵の人は点字ブロックを塞がないように立ち止まった場合、他の人が傍を通行しようとしても点字ブロックの方へ移動することはありません。
"点字ブロックではない部分"を自分の領域として死守するかのごとく立ち止まっています。

そのような状況になると、そこを通行する人は点字ブロックの上を通行せざるを得なくなってしまいます。
つまり、点字ブロック上を通行することが難しい方が点字ブロック上を頑張って通行しなければならない状況が生まれてしまいます。

だからといって、点字ブロックの上で立ち止まっておけというわけではありません。
点字ブロックは視覚が不自由な方にとっての命綱です。

通常は点字ブロックは塞がないように立ち止まるべきですが、もしその際に通行可能な部分が点字ブロック上しか残らず、通行に困っている/いそうな方を見かけたら、「こちらからどうぞ」と、サッと点字ブロック上に避け、平坦な道を譲ってくださる方が増えれば、この記事の意図が伝わったかな、と思います。

個人的な主観・経験ですが、点字ブロックが通行の障壁になる方同士の譲り合いはたまに見かけますが、そうでない方が進んで点字ブロックの方に避けて譲るという状況はあまり見かけたことがありません。

少しでもこのようなことを知ってる人が増えれば、よりバリアフリーな社会が実現されるのかなと思います。

"待ち"が発生する場所でなくても同様です。
エレベーターまでの狭い通路などで誰かとすれ違う際に、"点字ブロックではない部分"をお互い歩いてきてぶつかりそうになった場合、点字ブロックの方によけて道を空けてあげると、きっとお互いに温かい気持ちになるでしょう。

おわりに

多くの方は「面倒だからどかない」というわけではなく、自分が不便を感じたことが無いことから、そもそもこのように点字ブロックのある部分を通行しなければならない際に支障が生じる方がいるということを意識したことが無かっただけだと思います。

「そういうことがあったのか!」と少しでも感じてくださった方は、この文章を頭の片隅に入れ、日々の生活の中にちょっとした思いやりの心を持っていただけますと幸いです。

それでは。

参考文献

[1] 社会福祉法人 日本視覚障害者団体連合 「点字ブロックについて」(http://nichimou.org/impaired-vision/barrier-free/induction-block/)[2023年3月17日閲覧]

[2] 水野智美,徳田克己(2010)「点字ブロックが車いす使用者,高齢者, 幼児の移動にどの程度のバリアになっているか」 厚生の指標,57(1),pp. 15-20. (https://www.hws-kyokai.or.jp/images/ronbun/all/201001-3.pdf) [2023年3月17日閲覧]


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