第16章 哀悼者の死(ドラブラメインストーリーまとめ)

 スマートフォン向けMMORPGコード:ドラゴンブラッドメインストーリーのまとめです。

前回のあらすじ

 ソ・シハンらの卒業が近づく12月24日、彼と《プレイヤー》は北極圏海上を航行するヤマル号で極秘任務についていた。調査の結果、船長ヴィンセントが探していたのは竜ではなく宝の島であったことが判明。一安心した彼らはしばし休息の時を得、ソ・シハンは《プレイヤー》の求めに応じて自らの過去を語り出したーー

第16章 哀悼者の死

台風の夜

記憶を語り出すソ・シハン

 ソ・シハンは15歳の頃の記憶を語ります。

 カッセルに来る前、彼は中国のシラン高校に通っており、ロ・メイヒは後輩でした。その日は台風が上陸する直前で、空がひどく曇っていました。

 傘のないロ・メイヒはリュウ・ミョウミョウの車に一緒に乗せて欲しいと願い出ますが、「家の方向が違うから」と冷たくあしらわれてしまいます。
 それを見ていた友人のチョウ・モウカが「うちの車で途中まで送るぜ」と声をかけますが、直後に高校のマドンナ、チン・ブンブンの姿を認めると、ロ・メイヒとの約束を反故にして、彼女を車に乗せてしまいました。
 当時チン・ブンブンに片想いをしていたロ・メイヒはひどく落ち込みます。

チン・ブンブン(左)とチョウ・モウカ(右)
二人は後に両思いとなる

 一方、ソ・シハンのもとには、900万のマイバッハに乗った父ソ・テンキョウが迎えに来ました。彼の職業は運転手です。これから豪雨になるというのに、オープンカーで迎えに来たのかと呆れるシハン。

ソ・シハンの実父、ソ・テンキョウ

 テンキョウは軽い口調で、息子の学校生活や進路について聞きたがりますが、シハンはやや反抗的な雰囲気です。
 実はシハンの母ソ・ショウケンはテンキョウと離婚しており、現在は再婚相手とともに暮らしています。テンキョウは離れて暮らす妻子を気にかけ、こうして会いに来たりもするのですが、シハンの方は母と別れた父に対して複雑な思いを抱いていました。

 車は高速道路を走り、高架橋に入ったところでシハンは異変に気づきます。この空間から出られなくなっている……?
 2人はいつの間にかニーベルンゲンに囚われていたのです。

「何だあれ?」

ソ・シハン

 初めて堕武者を見たソ・シハンは恐怖に身をすくめます。その時、テンキョウが刀を抜き、車を取り囲んでいた堕武者を薙ぎ払いました。
 これまでに見たことのない父の姿に、シハンは驚きます。

「息子よ、しっかり見ていろよ。お前の父さんは、できる男だ!」

ソ・テンキョウ

父の正体

息子を守りながら戦うテンキョウ

 実はテンキョウはS級の血統を持つ混血種でした。表向きは冴えない運転手ですが、裏ではエリート執行部員として極秘任務をこなしていました。そのため、何も知らない妻子と離れ離れに暮らさなければならなかったのです。

この危機にシハンの血統も目覚める

「頭が……痛い……たくさんの光が、目の前で跳ねてる……」

ソ・シハン

 この危機に、シハンの《霊視》が無意識に発動し、血統が解放されようとしています。テンキョウは、息子もまた自分と同じ道を歩もうとしていることに苦い思いを抱きます。

「足を踏み入れてしまったな。真実の世界へ……」

ソ・テンキョウ

オーディンとの邂逅

 テンキョウは堕武者を倒し、シハンに少し休んだら料金所まで行くよう指示しますが、その時何かの気配を察知します。

「待て! あいつらがまた来た!」

ソ・テンキョウ

 空に雷鳴が轟き、8本足の馬に跨った巨大な影が猛スピードで向かってくるのが見えます。

ここはオーディンの領域だったのか!

「人間よ、神の下僕を斬殺するとはいい度胸だな」

オーディン

「神の下僕だ? ただの屍の群れだ!」
「お前らの探し物なら知ってるぜ。いいだろう、それを渡しても構わない。ただ、俺たち親子の安全を保証しろ」

ソ・テンキョウ

 堕武者らをけしかけ、神槍グングニルを手に襲いかかってくるオーディン。

「息子よ、お前は市の代表チームのセンターで、ディフェンスが上手いんだって?」
「あいつらは俺たちを見逃してはくれないだろう。これから俺が『走れ』と叫んだら、お前は車に向かって走るんだ。絶対に振り向かないこと。いいな?」

ソ・テンキョウ

 テンキョウはシハンを守るため、刀を抜いてオーディンに立ち向かいます。その間にシハンはマイバッハに乗り込み、料金所へと走り出しました。

父を置いて逃げたことを、彼は後に悔やみ続ける

「もし俺が死んだら、この世に残したものはお前だよ」

ソ・テンキョウ

 その後、ニュースでは0407号台風「タンポポ」が都市の中央区域に特大豪雨と暴風をもたらし、交通機関に重大な影響を与えたことを報じました。高速道路にいた人たちは警察によって全員助けられ、料金所に戻ったソ・シハンも無事に保護されました。

 しかしニーベルンゲンに一人残ったソ・テンキョウだけは戻ることがありませんでした。これ以降、ソ・シハンは父の捜索と竜殺しに人生を捧げるようになったのです。

ソ・シハンのモノローグ

 過去を話し終え、眠りにつくソ・シハン。窓の外で降りしきる雨音はあの日と同じで、彼は心の中で「父さん、また雨が降っているよ」と囁きました。

父を思いながら眠るソ・シハン


(第17章に続きます)