第8章 夏夜の夢の終わり(ドラブラメインストーリーまとめ)その3
スマートフォン向けMMORPG『コード:ドラゴンブラッド』メインストーリーのまとめです。
大地と山脈の王
竜血生物たちの襲撃に耐えながら先へ進むロ・メイヒ。電車から飛び降りて広場のようなところに出ました。
そこにいたのは、「大地と山脈の王」フェンリル。四大君主と呼ばれる伝説級の竜王だったのです。
絶体絶命のピンチかと思われましたが、フェンリルは侵入者のロ・メイヒを不思議そうに眺めるだけ。凶悪な見た目によらず、知能は幼い子供のようでした。
そこにソ・シハンと夏弥が駆けつけます。
(原作によれば、ソ・シハンはデータ解析結果から地下鉄周辺の謎の振動に気づき、この場所を突き止めていたのでした。夏弥はソ・シハンに「明日の昼に夏弥の家で食事をする」約束をメッセージで送ったところ返信がなかったため不審に思い、端末の位置情報から彼の居場所を探して合流していたのです)
ブラッドブーストを発動したソ・シハンの《君焔》と夏弥の《風王の瞳》の合体技、《火炎竜巻》がフェンリルを襲う!
言霊の力で空中に漂っていた夏弥が力を使い果たし落下。それをソ・シハンが抱きとめます。ナイスプレー!
夏弥はソ・シハンの腕の中で微笑み、賞賛の拍手を送りました。
そして……
夏弥は突然、ソ・シハンの腹部を刺したのです。笑みを浮かべた彼女の肌には鱗が浮かび、竜化の証がはっきりと見て取れました。
イエメンジャド
フェンリルは、北欧神話で邪神ロキと女巨人アングルボザの間に生まれた狼だと伝えられています。彼を「兄」と呼ぶならば、夏弥の正体は……
彼らにはもう一人の妹、死神のヘルがいるはずです。イエメンジャドは、ヘルはまだ生まれておらず、今日この地に彼女が降誕するのだと言います。
竜の力は血統に由来します。混血種は己の血統の純度を高めることでより大きな力を得ようとしますが、イエメンジャドら純血種は既にピークに達しています。血統を強化するためには、他の純血同類の血を混ぜるしかありません。
つまりイエメンジャドは、兄フェンリルを呑み込んでヘルに生まれ変わろうとしているのです。
顔を上げたイエメンジャドの頬には涙が流れ落ち、その瞳は悲しみに溢れていました。兄を愛していても、同類に対抗するためには圧倒的な力に頼るしかなく、そのために彼らはヘルになるしか道はないのです。
おかしな人ね、本当に人間なの?
その思考は竜そのものだとイエメンジャドは笑います。
双子の竜王
フェンリルは生まれつき優れた血統を持っており、その言霊はイエメンジャドをはるかに超えていましたが、その知能は低いレベルに制限されてしまいました。イエメンジャドは彼の頭脳。彼は妹を信じて従えばそれで良かった……
イエメンジャドがフェンリルに寄り添って囁くと、死んだはずのフェンリルが目を覚まし、再びソ・シハンとロ・メイヒに襲い掛かります。ソ・シハンは三度目のブラッドブーストで半ば意識を失いながら戦い、イエメンジャドは「あんたはもう堕武者だよ」と呟きます。
奮戦の末フェンリルを倒したソ・シハンは力尽き、立ち上がることができなくなります。イエメンジャドはソ・シハンのもとに近づき、彼と目線を合わせるようにしゃがみ込みました。
その顔や身体には、竜化の痕が全く残っていません。いつもの愛らしい「夏弥」の姿が戻っていました。
意識を取り戻したソ・シハンは、前にも何日も意識を失った後、最初に見たのが彼女だったことを思い出します。「まるで悪夢みたいだな」と呟いたソ・シハンに、「悪夢は終わったよ」と言う夏弥。
「夏弥にかい……それともイエメンジャドに?」とソ・シハンが尋ねると、彼女は「夏弥に。あんたはイエメンジャドのことをまったくわかっていないんだ」
そうならなかったことを夏弥は残念に思っているようでした。ソ・シハンは「悪く思わないでくれ」と詫び、「もう少し時間をくれないか……幾つか質問がしたい」と続けます。夏弥はこれを了承しました。
実はソ・シハン、ロ・メイヒ、夏弥は、学年は違いますが同じシラン中学出身。ソ・シハンが中学バスケットボールチームのエース選手だった頃、彼女はチアリーダーとして彼の応援もしていたのです。映画館や水族館にも行ったことがありました。今になって、ソ・シハンは忘れていたそれらの記憶を思い出します。
(※)オーディンとは、北欧神話に出てくる神で、神話によればラグナロクでフェンリルに呑み込まれますが、フェンリルはオーディンの息子ヴィーザルに殺される運命にあります。
「そういうことか……」と独り言ちるソ・シハンの仕草を嘲笑と受け取ったのか、少しムキになった様子の夏弥。「あの時あたしはまだ人間のやり方を完全には身につけていなかったから、色仕掛けだって下手だったよ」と主張します。
(その4に続きます)