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今日も仕事は休みだったので
雑貨店員の休日のこと。

恋人が仕事の合間に時間を作ってくれて
夕方から、ふたりで行きたかった作家さんの展覧会へ。

わたしが先にいたカフェの近くに
車で来てもらったら、
なんだか彼は少し不機嫌だった。

わたしが途中で場所を変えたからかな、
と思っていたら

「愚痴聞いてもらっていい?」
と言った。

彼は普段愚痴をほとんどこぼさない。
マイナスな言葉をほとんど発さないし
発してもそれをすべて
学びとして捉えていく、仏のような人。

だから、そんな言葉が出できて
少し驚いた。

車を停めたところで
ふんふん、そんなことがあったの、
と話を聞きながら
コーヒーを飲んでクッキー食べ
車を降りて展覧会の会場へ向かう。

道路沿いの家に咲いている
名前のわからない黄色い花や
椿を見ながら、彼は写真を撮っていた。


するとと突然、
「あ、今怒りがなくなった!」
と満面の笑みで言ってくる。

わたしはその間、写真を撮られている。

「好きな写真撮ってたから?」
と聞くと
「いや、話聞いてもらえたし、会えたから」
とさらっと言う。

彼は自分が思っているより
何倍も人に優しい。
それはきっと彼以外の人は
みんな感じるくらい
優しさが滲み出ている。

けれど、優しさは
同時に存在する怒りの質量よりは
やはり小さくなってしまうのかもしれない。

怒りは、きっと身体に残りやすくて
質量もきっと大きい。

事柄にもよるだろうけど
怒りはエネルギーがいるし
自分を削るからこそ残りやすいのだと思う。

いつも優しさと穏やかな心で
包みこむ彼が持っていた今日の怒りも
最初は大きかったけれど
いつのまにかなくなっていたみたいだった。

怒りや悲しみや苛立ちを消すには
なかなか手強いけれど
だからこそ、
ときどき誰かに手伝ってもらって
自分の中で小さくしていくことは
とても大事なんだなと気付いた。


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