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バロメーターになるもの-2020.3.15のお客様-

わたしは、文具と雑貨の店で働いている。

今日も素敵なお客さまが。

お店にある、ある時計を見ながら
声をかけてくださった。

「素敵な時計を揃えてますね」
「ありがとうございます」

そんな会話から、
いつも出張でこられたら
うちのお店に寄ってくださること、
系列の店舗はあるの?などの話をしたあと
ふたたび時計の話へ。

お客様は50歳代の男性。
手や顔にはしっかりとシワがあり、日焼けしている。
仕事はわからなかったけど
今まで世界30カ国ほど旅をしてきたらしい。


「これまで沢山の時計や服飾品を
買ったり身につけたりしてきたんだよ。
だけどね、金やゴールドメッキのものは
やっぱりたくさんの経験と年齢を重ねないと
似合わないように出来ていると思うんだよね。
僕なんてまだまだだけど、
このゴールドを使ってる時計、やっぱりかっこいいなあ。」

そう言いながら
ずっと、その時計を眺めていた。

「服飾品はやっぱりその人のその時の状態によって、似合う似合わないがすぐに出るよね。金のものを試着してもしっくりこないから、ずっとシルバーのものばかり使ってきた。金が似合うようになるには、それなりの時間と経験が大事なんじゃないかと思ってね。でも、ここ最近、金を使ったものにまた目がいくようになってきている。
そろそろ僕も挑戦していいのかなあ。」

わたしは、最初にその話を聞いた時、服装や持ち物によって使い分けるのもありなのでは?と思っていた。

だが話を聞いていく中で
この方が大事にしているのはきっと
金かシルバーかだけでなく
服飾品を通した自分のあり方
だなと思った。

誰にも自分の中のポリシーや
大事にしたいことがある
それは会話の中でその人の言葉として出てくることもあれば
自分自身で気づいていない人もいる。

その方はたしかにシルバーへのこだわりと
ゴールドのものへの憧れ・目標があった。
けれど、それはきっかけであり、
それが、
自分の成長を確認する一つのバロメーター
なんだと感じた。

自分の中にそういった姿勢や視点を持っている人は、自分ときちんと対話できていてかっこいい。

すきなもの嫌いなもの
似合うものも似合わないもの
それらを自分でわかるようになるまでには
たくさんの経験が必要。

このお客様のおかげで
そういう姿勢を見つけていく
楽しみが、またひとつできた

ゴールドの時計
次はぜひご試着ください(^^)

本日も
ご来店ありがとうございました。



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