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10月3日、登山記録

登山を初めてみよう。そう思い立ち、新宿の登山洋品店で登山の三種の神器と呼ばれているらしい、レインウェアとザックとトレッキングシューズを購入した。しめて約6万円。本当だったら、その週の土曜日にいざ初登山と意気込んでいたのだけど、例の如く、早起きができなかった。結局その週は登りに行けず、10月3日、眠りの誘惑に後ろ髪をひかれながらもエイヤと布団を押しのけ、ようやく初登山をキメることができた。えらいぞ俺。


登山道は急な箇所が多くてキツかったけれど、次第に荒くなる自分の息とか、太ももの裏に蓄積されていく疲労感とか、これでもかと言うほどに額からドバドバ流れる汗の感じとか、ありとあらゆる感覚が新鮮で、こんなふうに書いたらマゾだと思われるかもしれないけれど、久しぶりに生きているって感じがした。登ることそれ自体が楽しかった。

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山道と格闘すること約90分(多分)、前方に鳥居が見え、目と鼻の先まで近づいた山頂に向かう足に力がこもった。登頂。ところが、山頂は雲に包まれていた。晴れていたら富士山や相模湾を眼下に見渡せる頂上の見晴らし台からは、ゆらゆらと漂う白い靄が見えるだけだった。

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不思議とガッカリはしなかった。自分の足で山頂までたどり着いた達成感と、眼下に漂う白い靄の幻想的な光景に胸が満たされていて、今回は景色が見えないけどまあいっか、と思えた。山は逃げないのだから、また登ればいい。

下山途中、登る時に追い越した親子連れとすれ違う。向こうも僕のことを覚えているように見えたので「あと10分くらいですよ」と伝えようかと思ったけれど、聞かれてもいないのにわざわざ山頂までの所要時間を言うのも野暮かと思ったので「こんにちはー」とだけ挨拶した。

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