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ノンカクテルな毎日

少し前。

突然の症状に驚いた。

『必要な声が聞こえない…』


なんの前触れもなかった。

テレビで喋っているキャストの声だけが

何故かある日突然聞声なくなっていた。


正確には聞こえてはいるけど、

情報として頭に入ってこない状態。


「疲れているんだ…。寝よう。」

私はその日可能な限りの休息をとった。


翌日。

恋人の声が聞こえない。

昨日と同じだ。

音としては認識している。

でも情報がはいってこない。

「ちょっと何言ってるのかわかんない」

と冗談まじりに返してみたが、

正直ちょっと怖かった。


運良く仕事中は症状が気にならなかった。

数日経ち、

良くなったのか、慣れたのか…。

次第に日常でもあまり気にならなくなった。


カクテルパーティ効果というものを

ご存知の方もいらっしゃるだろうか。

人間には本来「音の選択的聴取」能力が

生まれつき備わっているらしい。

私にはこれが欠損しているのかも知れない。

或いは後天的に失われたか。

とにかく全ての音が平等だ。


Wikipediaによれば、

これはある種の発達障害または

自閉症スペクトラム障害の一つらしい。

(また受け入れにくいことを…)


気になるのは

昔からこうで、あの日突然気がついたのか。

何かがきっかけで、突然発症したのか。


とにかく私は耳が悪いらしい。

慣れてきてあの日よりはだいぶマシだ。

もしかしたらもともと素質があって、

あの日なにかをきっかけに

症状が表に出てきたのかもしれない。


とはいえこの耳も悪いことばかりではない。

逆にすごく聞こえるものもある。


それは普通人が意識していないであろう音。

例えば遠くでウォークマンがイヤホンから

音を出していているのに気付けたり、

側溝に落ちた猫の声が聞こえたり。

まぁまぁ悪くないこともある。


こんな大したことのないものを

同列に並べるつもりはないが、

『ハンディキャップは個性だ』

その意味が、

少しだけ身近に感じるようになった。

これもまた悪くないことの一つだと思う。

サポートありがとうございます! 栄養ドリンクに変えさせていただきます!!💪