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バキ童チャンネルに勇気を貰った話【s2:13話】

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Pairsを再開してデートのアポは取れた。初回のデートは次に繋げられることもある。けれど、心の距離はどうしても縮まらない。

どうしてだろうか、と思っていたが、バキ童チャンネルでYes!アキトさんが芯を食ったことを言っていた。

出典: ぬいペニ問題の解決策があるとYes!アキトさんが豪語しているゾ【ガチ回】

「自分が嫌われる存在だという前提の元で全ての行動原理を決めている」というぐんぴぃへの指摘。しっかりと刺された。

この前提があると、プライベートでの発言と行動の前に「嫌われるんだろうな」という判定が入ってしまう。ゆえに、無難なコミュニケーションをとってしまう。そういう人間が他人から好かれるのは難しい。

じゃあ、どう治せば良いのだろうか。

アキトさんはぐんぴぃに「まず自分を好きになろう」とアドバイスしていた。確かに自己嫌悪をやめてセルフ・コンパッションを身につけるのは大事なのだが、過度な自己嫌悪を治すことと、自分が嫌われる存在だという前提をなくすことには大きな隔たりがある。

「自分を好きになる」は自分だけで解決できるが、「嫌われる存在だ」という認識は過去の経験から来ている。ゆえに、認識を改めるには好かれる体験で上書きすることが必要になる。そして好かれる体験を得るためには、チャレンジと多数の失敗が必要だ。

あきまんさんはイラストの上達について述べているのだが、これはあらゆる上達についても言えそうな話だと感じた。人に好かれるための挑戦をするにあたって、「自己嫌悪をやめる」というのはチャレンジゲージの自然減をゼロにするだけだ。ゲージを貯めるための成功体験は自己嫌悪をやめるだけでは得られない。

しかし、自然減をゼロにするだけのアドバイスをしているアキトさんは決して不誠実ではないとも思う。

自己嫌悪の強い人間は常時ダメージを受けている。たとえるならば、常に横にいる人からダメ出しされ続けるようなものである。24時間365日、ひたすら「お前はダメだ」「どうして上手くやれないんだ」と言われ続けるのを想像してほしい。

お前はダメだと言われ続けるとあらゆることに「どうせ自分なんて……」という判断が入って、勝手にチャージがなくなっていく。言うなれば底の抜けたバケツである。だから自己嫌悪という穴を塞ぐだけで、チャレンジゲージを貯める行為が可能になる。

ゲージを貯める必要はあるとはいえ、セルフダメ出しによる常時ダメージを受けなくなって思うのは「普通の人はこんなにも楽な世界に生きていたのか」という感覚である。希死念慮が消えた時にもこう思ったのだけど。

とはいえ、失敗するとゲージは減る。逆に言うと、失敗でしかゲージは減らない。一瞬は落ち込むが、2〜3日の間酒を飲んだり、ゲームをしたりしていれば悲しみは癒える。そして柔術の練習に行けばチャレンジゲージが貯まる。

あと15年早く自己嫌悪を消せていれば、いや10年早くこの境地に至れていれば人生は大きく変わっていたかもしれない。もしかしたら5年でも、ギリギリ何とかなったかもしれない。

けれど、そうはならなかった。

『子ども兵の戦争』という有名な本がある。堅苦しいし胸糞も悪くなる本だから、伊藤計劃の『The Indifference Engine』を読んでもらっても良い。伊藤計劃は確実に『子ども兵の戦争』を読んでいたと思うけれど。

どちらの本でも、子供時代を兵士として過ごすと、戦後の社会に適応できずに再び暴力に吸い寄せられてしまう悲劇が描かれている。

平和を知らない元・子ども兵は、周囲から「どうして平和に生きられないの?」という目線を受ける。

自己嫌悪という戦場に適応してしまった人間もまた、30代恋愛経験なしということで「なんで努力してこなかったの?」という目線で見られてしまう。それまで自己嫌悪に忙しくて努力どころではなかったというのに。

経験がないことに苦しんでいるのに、経験がないことそのものがハードルになっている現状。経験を積むための経験を積めない。どうしようね。

以下は経過報告です。

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