日記:2024.07.26_1

父は蛙が嫌いだ。かなり山奥の田舎出身で実家が農家だったので縁は近いはずだが、どうも苦手らしい。わたしは両生類全般観るのは大丈夫でも絶対触れない。可愛かろうが無理。

父はエンガワが好きだ。わたしが小学生の頃は休日に家族で回転寿司に出かけることがよくあったのだが、そこで3/10皿位の割合で頼む白く光る「エンガワ」なるものがずっと気になっていた。だからこそ、初めてエンガワを食した瞬間、ちょっと父に近づけたような嬉しさも込で美味しかった記憶が残っている。

父は寡黙…と思いきや結構快活で人とのコミュニケーションを志向する人だ。家族、特にわたしを含む息子たちにとっては、物心ついたときから土日に限らない不定休で早朝出勤深夜帰宅のサイクルだったので、そもそもの会話自体が少なくて見えていない部分はあったが、仕事においてのお客さん、あるいは同年代の友人(パパ友)との関係性においてはどうもいい感じのようだ。年1回は必ずおやじたちの集いでキャンプに出かけていく。料理担当なんだってさ。こないだ帰省したときは十徳ナイフを見せてくれた。ワクワクするのわかる。因みにうちは家族LINEが無い。父とわたしだけがiPhoneなのでMessageで、母と弟2人とはLINEでやりとりしている。

父は新しいもの好き、のようでいて結構独特なセンスの持ち主だ。急に実家の車(主に父の出勤に使うのだが)をあんまり事前の相談もなしに電気自動車にしてきたり、急にNew Balanceの靴に凝って集めだしたり、地元のららぽーとの新しい店の情報を教えてくれたりする。Messageで。年齢の割には若い服装だと思う。そして発色の強い色のトップスだとか、ガチャガチャした色の靴が好き。記憶に強く残っている父の私服姿は、たぶんハーレー・ダビッドソンのTシャツなのかな、ビビッドなオレンジのTシャツか、米軍基地の祭か何かでもらった赤いTシャツだったりする。

父が還暦を迎えた。と同時に定年で直近25年ほど努めた仕事を退職した。先日、その父のお疲れ様会と今後の話を含めた食事会が開かれたので、父とは下手したら半年以上ぶりくらいに会ってきたというわけである。上述してきたように、あまり家族としての「今後」みたいな話を、”腹を割って話そう”をやってこれていなかった分、父がやっていきたい仕事、人生の過ごし方、父方の家族への想いみたいなものを初めてちゃんと聞いた気がした。そして「相談」みたいなのが上手くない人なので、ある程度自分の中で進めてからこちらにお出しされてもいきなり何ですか、ということがそこでも起こっていた。詳細は省くにせよ、こういう会話をもっと普段からしておきたかったと思うと同時に、この機会に10年分、いやそれ以上かもしれない会話ができたのはそれはそれで幸運だったのかもしれない。なんか文庫本借りっぱなしな気がする。そのうち読みたいと思ってるよ。わたしは東野圭吾も池井戸潤も通っていないけれど。

そして、そんな父とわたしは似ている。何も容姿的な話ではなく。ちょうどわたしが生まれたとき父は29歳で、今のわたしは30歳である。性格も寿司の好みも服装の色感覚だとかは影響があると思う。人に相談するの上手くないし、「何考えてるかわからない」と言われがちだし。ただ、父は料理が得意だし、人の懐に入るのはうまいし、まあ同年代と比べるとかなり健康体だと思う。わたしといえばその逆だが、探究心×行動力は特に20歳以降の人生で涵養されてきたし、思考の傾向は水平というよりは垂直である。この辺の、似ている/似ていない部分だとか、まだ聞けていない学生時代の話とか、今後はそういうパーソナルな部分も知っていきたいと思っている。

父さん、誕生日おめでとう。お互い健康にいきましょう。


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