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2023年     詩

400
2023年製作した詩 400を目指す
運営しているクリエイター

2023年3月の記事一覧

旗手

旗手

胸を張って
顔を上げて
高らかに宣揚している姿が
とても可愛らしかった

AIが人間と同様に権利を得た
セレモニーとして
代表をしたのは顔も姿も旧型の
アンドロイドだった。

私にとってはそれは
アンドロイドの
人間に対するアピールたと
思っていたが

彼らにとって1番美しいものを
代表にしたらしい。

その先

その先

お手玉をして
コロコロと落とした
その先を見ている

その姿をみて
私はぼんやりと
綺麗だなと
そんな風におもってた

ただ転がる先を
ぼんやりと眺めている
わたしも誰かに
見られているのだろうか

今日は思い切って

今日は思い切って

今日は思い切って行動をしよう

通勤中ずっと気になる場所があった
まるで絶世界のようで
一面黄色い絨毯が敷かれている様だった

毎日ほんの少しだけ気持ちを
リフレッシュ出来る
そんな特別な場所だった

何十分も掛けて向かう途中
いつもと同じ通勤路なのに
特別なワクワク感を覚えた

あの場所へ着き
私は花畑の中心へと向かった

いつもと同じ場所で
いつもの私と同じような私と
同じような車が何台も通り

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ランドリー

ランドリー

今日も外は雨で
何も考えずにランドリーに来た
両手に溜まった洗濯物を提げて

大きな洗濯機の中に
洗濯物をぶち込んで
ぼんやりと窓から外の様子を伺う

激しくなる一方の雨に
どうやって帰るか
考えていない事思い出す

外を眺めていれば
そのうちいい方法を思いつくだろう

月とススキ

月とススキ

月にはススキだ
団子でもいいけど
団子はずっとそこにはいられない

酒でもいいけど
酒は欲望に忠実すぎる気がする
月にはススキだ

月に聞くと
ススキより他に似合う何かがあると訴えてきたススキに聞くと
月には興味がないと言ってきた

それでも月にはススキだ。

外に出ようと

外に出ようと

コートを買った

ここ数ヶ月外には出ていないのが
精神にも肉体にも良くないと
コートを買った
私の偏屈な心も隠してくれることを期待して

外にはまだ出れていない
コートが私を外に出すことを
企んでいる

押し入れに監禁してやろうかと
コートを見たが
私の方が世界に役割を果たせる
この部屋の主人は私だと
訴えている様で手が出せなかった

未知の世界

未知の世界

知らないものが減るたびに
増えていく知識欲と
世界に対する失望を
抱きながら世界と対峙する

ネットも交通も発展していない
過去に戻ってやり直したい
世界は驚きに満ちていると確信したい

そう思う私の心が
捻じ曲がっているのか
そんな事はないと
今日も過食気味に未知へと向かう

カラス

カラス

まっすぐと見つめる先に
あるのはゴミ山か
それともメスの群れか

邪推をされながら
まっすぐと見つめる先は
やはりゴミ山で

皆はがっくりと肩を落としていくが
本当にそれは単なるゴミ山なのだろうか。

発売日 2023年10作目

発売日を心待ちにしなくなって
新作はコンビニで見つけて
買う様になった

そんな事は大人になった
証拠ではなくて
子供になりたい衝動だと

ぼんやりと感じながら
今日発売の漫画を手に取る
子供の頃よりも薄まった
喜びは確かに胸の中には
存在した。

ゲームブック 2023年9作目

ペラペラと指示の通りに
ページをめくると
バッドエンドで

たまらずに
私は元のページに戻って
もう一度やり直した

するとそちらも失敗で
私さらに前の選択肢に戻った

戻ってやり直しても
バッドエンドばかりで
やがてどこのページに
戻っていいのか
わからなくなっていた

本塁打 2023年8作目

一度で物事をまるっとかえる
そんな奇跡を私は願っている
野球で言えば本塁打の様に
一度でガラッと変える

苦しんで苦しんで生まれた何かが
価値があると思っているから
そう信じているから

昨日起きた出来事は
まさにその類のものだった
それなのに今日も変わらず
日々を過ごしている

私と世界の点差は
容易には埋まらないほど
離れているのだろう

たわごと 2023年7作目

たわごとだ
口からでまかせです

今はいた言葉も
昨日ついた嘘も
これから言おうとしている事も
全てたわごとです

受け流したり
しなったりして
相手にしないでください

そんな事ばかりを繰り返して
できた私もきっとたわごとのように
もろいなにかなんでしょう

ランドリー 2023年6作目 

ガタガタと心地よい音が
室内に反響している
この街にひとつしかない
コインランドリーで
今日も客は俺だけだった

片道15分かけて
洗濯しに行くのは非効率だか
この古びて清潔な空間が
癒しとなっていた

乾燥まで終わると
無音で何もない空間に変わった
ぼんやりと時が過ぎていく

これから何をしようか
明日はどうしようか
昨日はどうだったのか

そんなくだらなことは
全部綺麗に洗い流して
ただ真っさ

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