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サンフレッチェ広島の新スタジアムにおける入場料収入に関する一考察
おはようございます。こんにちは。こんばんは。お久しぶりです。J1昇格プレーオフを流し見しながら長文を書いている私です。今回は広島市の新スタジアムの開業が迫る中、シーズンチケットの話などをしたいと思います。
①シーズンチケットの売れ行き
さて、先日2024年シーズンチケットの一部席種完売のお知らせがありました。11/7にも完売した席種はありましたので、現状はこんな感じ。
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少し前にシーズンチケットの売れ行きログを逃してしまったと愚痴ったら資料を提供いただきました。KOPさん、紫福さん(@shibuki_viola)、さんふれぽてとさん(@sanfreccepotato)本当にありがとうございます!さんふれぽてとさんの画像編集もすごいので是非見て下さい。
それら資料のおかげで全然需要はないであろうシーズンチケットの販売推移グラフを作ることができました。だんだん埋まってる感じが良いですね。
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②入場料収入が長年の懸案事項
さて、シーズンチケットとして販売している20席種のうち12が既に売り切れており、全体の75%が販売済。そんな好調な状況ではありますが、シーズンチケットの販売はサンフレッチェにとって長年の経営課題でもありました。
そもそもJクラブの収益構造はスポンサー収入、入場料収入、Jリーグ配分金、その他収入(アカデミー、女子チーム、物販など)で構成されています。サンフレッチェ広島は2022年度に過去最高の営業収入となりましたが、スポンサー収入や女子チームの立ち上げが大きく寄与しており、コロナ禍の影響はあれど成績を鑑みると入場料収入の伸び悩みが目立っていました。
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各収入をJ1平均と比較してみたのが次の画像。スポンサー収入は近年のビッグネーム獲得も相まってJ1平均がぐんと伸びていることを考えると健闘している部類。配分金はDAZN参画による賞金アップと好成績の影響で平均を上回る年もあります。これらに対して入場料収入の水準はちょっと厳しい。
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そして、この入場料収入のベースとなるのはシーズンチケットであり、この販売数が増えないことが懸案事項として何度も説明されていました。
また、「クラブ経営上の一番の課題は何か」というサポーターの方々からの質問に答えるならば、喫緊の課題としては、個人観客向けのシーズンパスの売り上げが伸び悩んでいることが、経営の安定性という観点からは依然として大きな課題です。クラブ史上初めて4,500枚の大台に乗りましたが、大抵のJリーグ優勝クラブで、翌年のシーズンパスは6,000枚程度を販売しています。また、他のJクラブですとシーズンパスとレプリカ・ユニフォームの販売数は大体同じくらいです。今年はJリーグとACLとで2着ご購入いただいたサポーターの方もいらっしゃいますが、それを考慮しても約7,000人がレプリカ・ユニフォームを購入している。うちのシーズンパスの販売数は、スタジアムの立地条件など色々考えてもやはり物足りないなと私は考えています。
まず一番優先されるのは、シーズンパスだと思っています。2015年、シーズンパスをお持ちの方は、5,000人弱でした。この人数を7,000~8,000人がベースとなるように持っていかなければと考えています。1試合平均15,000人の動員を考えると、約半分はシーズンパスの方々で占める必要があると思っています。そして残りの半分のうち、3/4(約5,500人)は単券のチケットでの入場、1/4は招待券や、割引・優待券などでの入場。それらを含めて15,000人を目指しています。
具体的な販売数でいうと、ACLに初出場した2010年に過去最高の販売数3500件を販売して以降2012年のJ1初優勝まで販売数は増えませんでした。3度の優勝を経てベースアップし、2016年シーズンに5400件を販売しています。ただ、これでも上記目標値には届いておらず、スタジアム近隣の駐車場の減少・コロナ禍も相まって非常に苦しい状況が続いていました。
この度、新スタジアム開業が控えているとは言え、すでに1万席以上が売れています。同時に値上げもしていることを考えると、如何に現在地での販売が難しいものだったのかがよく分かりますね…。
③チケット単価の引き上げ
前述したように新スタジアム開業に伴ってチケット価格も見直されました。
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席種が42とめっちゃ増えているので単純な比較は難しいですが、一番比較しやすいサポーターシート(ゾーン)で見比べると2023年は3万円だったものが2024年は42,750円と1.43倍にアップ。試合数自体が20試合から19試合に減少したので、それを加味すると実質1.5倍ですね。
他の席種に関しても高価格帯を除けば概ね同じ水準で値上げされているようですが、広域公園までのアクセスコストを考慮するとそれでも高くはないと感じています。もともとシーズンチケットの値引率が40%以上で、リーグトップクラスの安さだったこともあるのでしょう。
また今回、ACLとルヴァンカップを対象から外したために割高感があることについてですが、当クラブのシーズンパスは41%程度の割引率で、Jリーグの中では最も割引率が高くなっています。そういったことも含めまして、ご理解いただければと思います。
ちなみに各クラブのシーズンチケット価格と割引率をまとめるとこんな感じになりました。コロナ禍の影響とか2023年シーズンは試合数が多かったとか色々あって直近の広島の割引率は50%になっていたようですが、ようやくJリーグ平均くらいの割引率にできたという感じでしょうか。
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ちなみに新潟はシーズンチケットの特典が結構多いから強気の割引率っぽいとか、川崎はシーズンチケット自体が抽選販売だとか、面倒くさい価格設定にしていないところはどこも良いスタジアムだなとか見えてきて面白いです。鹿島の割引率はやっぱり立地ですかね…。
④入場料収入の見込
では、値上げと好調なシーチケ販売の影響で入場料収入はどう変化するのでしょうか。現在のシーチケ販売数にチケット価格を乗じたところ9億円台になるのではないかと考えています(小中高チケットがある席種については比率が分からないので2019年観戦者調査の比率を採用して計算しました)。
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これは、過去最高の入場料収入6億3800万円(CS出場した2015年)を超え、2022年の入場料収入(4億500万円)の実に倍以上。
他クラブとの比較(2022年度)でいえば、浦和(14億3900万円)、川崎(10億4800万円)、横浜マリノス(10億1900万円)に次いで4番手に躍り出ます。しかもこれはあくまでもベースの話なので上乗せがあります。
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クラブの目指していた「入場料収入の半分をシーズンチケットで埋めている」と仮定したならば、2022年のシーズンチケット以外での入場料収入は約2億円。これが値上げによる1.43倍で入ってくるとするならば3億円弱の増収になるはず。あとは通路側オプションとかその辺も加算要素ですね。したがって、入場料収入10億円突破するのは堅いんじゃないでしょうか。
もちろん新スタジアムになったことでシーズンチケットを新規購入された方も多いとは思いますし、後援会の無料招待券の兼ね合いもありますので、皮算用です。それでも夢は膨らみますね。
話の本筋とは全然ずれますが、招待券は損益計算書に関係するケースがあります(クラブがどう処理しているかによりますが)。広島は(従来から変わっていなければ)招待券の発行について売上と広告宣伝費を両建する処理をしています。利益は変わりませんが、表示上の違いは出ますね。
— ちょっつ☆☆☆☆ (@chottu_LB) April 26, 2023
⑤終わりに
新スタジアムのシーズンチケットの販売数から色々とネタを探してみましたが如何だったでしょうか。もっと丁寧に深掘りしたら卒論のテーマになるくらいは面白いですよね(例えばシーズンチケットの比較にファンクラブ会費を加味してないとか雑なところは一杯あるので)。
まとめると広島はこれまでとても苦しんでいたシーズンチケットの販売が半端じゃなく伸びており、入場料収入で上位に食い込めそうです。個人的にはズムスタにおけるカープ年間指定席取れない問題のトラウマがあるんじゃないかと邪推しています。買えるときに買わないと後悔する的な。
先日のバスケW杯のようにチケットは売れたけど席が埋まってないということが起こらないようにしたいなとか、客が来るということは周辺アクセスが大変なことになるぞとか、継続して売れないと意味がないぞとか、懸念点はいくらでもありますが、とにかく広島の方々が新スタジアムに大きな期待を寄せていることは間違いないのでクラブ共々頑張って地域に根ざすよう邁進して参りましょう。
それでは最終戦の勝利を願って。
サポートして頂いた金額は、広島のスタジアム建設募金に全額寄付する予定です。