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ゆめにっき こっそりと気持ちいい

  1. 寝起きでメモした後、その日の内に誤字等をチェックして記録しています

  2. 空気感が印象的な夢のみ、読む際にそれを思い出せそうな文に書き換えることがあります(内容はそのまま)

  3. そもそもメモの精度にムラがあります

  4. 暫くはスマホに残っているストックを載せます


背徳にやみつき

セピア色の映像
私は大学の同期3人と一緒に、古めかしい白い洋館に訪れていた
そこの広い広い庭で、イーゼルを立てて絵を描くらしい
テーマは理想の人間について

これは洋館の管理人が定期的に開催しているイベントのようで、知らない人もぱらぱらと参加していた
私達はこのイベントの常連だ

しかし、私達はなにも熱心に絵を描きに来ている訳ではなかった
この洋館でしか聴けない、とある録音音声に用があったのだ
それは邸内の渡り廊下の先、突き当たりの壁の穴から常時ひっそりと流れている
私達は揃いも揃ってそれに夢中であった

暫くは絵を描きに来たという体裁を保つ為、キャンバスと向き合う
ところが私は音声を聴きたくて辛抱たまらなくなり、こっそり渡り廊下の方へ歩き出してしまった
すると進行方向の先に友人が1人見えたので、皆考えていることは同じだということが伺えた
その穴がある壁の前で友人と自然と落ち合い、2人で穴に耳を近付ける

穴からは男女の話し声がした
ただ聴き取りづらい上に支離滅裂で、会話の内容はてんで理解出来ない
声自体は2人分しか聞こえないのに、何だかザワザワとしている
(1人で入店した飲食店で、色んな席の話が混ざって聞こえてくる時みたい…)

どうやらいくつかの話題を同時進行で話している為、会話として成立していないのだ
しかしそれがたまらなかった
どうしてか聴いていると頭がふわふわして気持ち良くて仕方ないのだ

穴から流れてくる音声は数種類あるようで、聴く度簡単な内容を記録する癖をつけていた

  • 情報が混ざり合いノイズと化した男女の会話

  • 男性が自身の人生についてぶつぶつと呟く音声

  • 家族間で存在しない隠語を多用する食卓の様子

  • 仲の良さが度を越えている不気味な4姉妹の会話

  • 弟の秘密の行動について探る兄の音声記録

今日の音声は既に手元のメモ帳に書き記されている内容と酷似していたが、それでも満足だった
最高のプレイリストだ

私達は音声を満足いくまで楽しみ、少しの間立ちすくんだ
どちらが言い出すでもなく、2人で絵を描いていた庭の方へと足を向ける

ぼんやりとした足取りでゆっくりと歩いている中で、友人が恍惚とした表情のままぽつぽつと呟く
「大人が銀の平たい名刺ケースを使うの、ずっと不思議だったんだ」
「でも、おもちゃ屋さんの太陽のたこが可愛いと思うけれど、いざたこ焼きを食べるとしたら銀だこに行くから」
「そういうことなんだろうね」

よく分からなかったが、きっとそういうことなんだろうと思った
私は何も言わずに小さく頷いた

渡り廊下から見える庭には西日が差していた
私達のイーゼルが、日の光でキラキラと輝いている
その光景に対して、ズートピアの三丁目の夕日みたいだと思った

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