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ブレイクニュース。オールドレンズはバベルの塔である!

沢村さんと言う人に私はいつも文句ばかり言っていた。何が文句かと言うと、レンズをいろいろとっかえひっかえしてデジカメで遊んでいるのである。ところがこのデジカメによるレンズ交換マニュアルというのが毎年1冊出るのでそのたびごとに沢村さんに会う機会があると、こんなことを私は質問していた。

レンズを交換することであなたの写真が変わるんですか?

沢村さんはこれを耳に痛いと思っていたようである。ところが一昨年のカメラホリックの京都の撮影で初めて沢村さんとご一緒してそのレンズ哲学に触れたのである。でもそのレンズ哲学は私には言葉に出して変換することができないのでこれは何であろうと思ったままコロナ騒ぎになってしまった。

思えば沢村さんに最初にお目にかかったのは20年以上前のことで、その頃彼はパソコン雑誌の編集者で私に何か取材に見えたのである。デジカメが実用になるずっと以前の旧約聖書の時代の話だ。

さっきこの本が到着したのである。そこには

オールドレンズはバベルの塔である

それで私の長年の沢村さんに対する疑問がいっきょに解決したのである。この文句は沢村さんより前から、レンズマウント交換1000日回峰行いとう大阿闍梨にも向けられていた私のビッグ?なのである。

私は写真家としてレンズは好きな方であるので、僕のレンズたちなどと言うムックを四半世紀前に出したことがある。デジカメが実用化するずっと前の話である。僕のカメラたちと言う1000ページの本も出したので業界で私を知らない人は私が単なるカメラとレンズマニアじじいだと思っているらしい。

でも本職は真面目な写真家、シリアスフォトグラファーなんです。

その証拠に2月18日からギャラリーバウハウスで過去50年にわたって撮影した東京のシリーズを展開する。

Today Tokyoと言うのである。

その半世紀の間にメインレンズとして撮影したレンズは主にニッコール2.1センチ。大学の1年の時に手に入れてそれだけでずっと撮影して今でも使っている。私はレンズメーカーの敵みたいなものである。だってレンズ売れないもんな。50年間1本のレンズずっと使われては。

私が沢村さんに対してレンズを交換して何が表現できるのか?と言う答えが今回この本で明らかになった。その答えは短く言ってしまえばこういうことなのだ。

レンズを交換してそこに現れるのは言葉にならない言葉である。

ウィーンに長く住んでいたので時間があると美術館のピーターブリューゲルのバベルの塔の作品の前に行ってそこの椅子に座って居眠りをしていたのだ。バベルの塔は人間が頭が良くなりすぎて神様の領域に届くタワーを立てたので神の怒りが人間の言葉を混乱させてお互いに意思が通じなくなったのである。

バベルの塔がレンズとして作用してデジタルカメラでありとあらゆるレンズが使えるようになったので我らの唯一の写真の神様は怒りを発してカメラ人類と写真家の言葉を混乱させたのである。

だからこの本はバーベルの黙示録として読むべきだと思う。

CP#が中止になっても我ら迷えるカメラ人類はこの黙示録があるから大丈夫ね。

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