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写真家が初めて文化勲章を受賞して何が嬉しいかと言うと、、、

1970年代とか80年代東京にまだデモがあってそれを写真家が真面目に取材していた時の話である。大体警察官に職務質問されてその言い訳がマイナスイメージになるのでポリスに聞かれたときになんと答えれば良いかと言う文句は最初から当時決まっていたのである。

すなわち女性写真の秋山庄太郎先生と同じ団体のものだと言うのである。これは効果的でどんなポリスでも秋山先生は知っているわけである。私もこれで何度か難局を切り抜けたことがあった。最もレアケースもあって、私はいつもデモの取材にカモフラージュジャケットを着ているので、職質してきた警察官が言った言葉が面白い。

大変失礼しました。右翼の方かと思いました。これである。

最近はデモンストレーションはまるっきりだらしがないからそういうゲバルト的なものはないにせよ70過ぎの老人がデモを取材していて警察官に職務質問をされることもないとは思うけれども、これからは決まり文句がある。すなわち

文化勲章受賞の写真家田沼先生と同じ団体のものだ

と言えば良いのである。実際問題として写真家と言う職業の地位は非常に低かった。当たり前の話であって、社会を批判する報道写真家であってみれば政府がそれをよく思うはずはない。それに一般的に芸術写真家にしてもエージェントカメラマンにしても、そして我々コンポラ写真家にしても社会的認知度が低い。それで良いのであるが何かトラブルが起きたときの切り札として、田沼先生が受賞されて文化勲章効果として写真を業としている人間が2階級特進したのである。

写真家と言う専業に国家が折り紙をつけたと言うわけだ。誠にありがたい次第である。

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