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佃日記2004年12月抜き読み。イスタンブール

佃日記2004年12月。イスタンブール8時半に目覚める。
昨日とはうって変わって快晴にて、一片の雲もなし。
朝食に上の食堂にて顔見知りのボイさんと話をする。持参のR−D1に50ミリのプラナーを付けて、オベリスクや隣りの最高裁の上に休んでいる鴎連を撮影する。
31号室に戻ると、日光がいっぱいに差し込んで部屋ではまぶしくて目が開けられないほどだ。この部屋の10月に窓辺の出窓に横になって、本を読む楽しみは知っていたが、それが12月にも可能であるとは知らなかった。
東京から持参の足穂の「東京キラキラ日誌」を読む。
この前、岩波の山口社長と大田区山王の話をしたが、文士村の略図を見ると、足穂の側には梶井基次郎が住み、川端が住み、その北の山王には和辻哲郎が住み、大学が棲んでいたのが分かり、ちょっと面白くなった。大学は家人の親戚すじにあたるのだ。

出窓からウルトラマリンの空を観察する「距離感」のことは、この出窓から外を見る時に常々感じる事実であるが、まず、無限遠が蒼空で、そこに星がやや近く、さらに月はもっと近くであって、それからさらに近距離にはエルサレムに飛行する旅客機があり、鴎があり、オベリスクがあり、部屋のカーテンに泊まっている冬の蠅がある。

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