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中学・高校の合唱における発声についての現状の諸問題

近年の『教育音楽 中学・高校版』における発声指導の特集や、日々の合唱部指導および合唱講習会などでの顧問教諭との交流から、発声指導に関わる問題は多くの関心を集めていることを筆者は強く感じています。

本記事では「中学・高校の合唱・発声における現状の諸問題」として、声や合唱指導にかかわる先行研究から一般的に中学・高校の合唱における発声指導で問題になっていること、指導者が悩んでいることなどを整理します。

『いま、若手音楽教員はどのような課題に直面しているのか?!教職歴1〜10年程度の教員に対するアンケートから見えてくるもの』(教育芸術社『音楽教育ヴァン vol.17』)において佐野(2011)は、若手音楽教員は歌唱に関して、「大きな声を出すことに意欲をもってしまい、静かな曲の時は、なかなか思うよう指導できない」などの「元気よく大きな声で歌うことを強調するあまりの弊害」や、「声が頭の方に抜けてしまい、前に飛ばすことが難しい」などの「いわゆる頭声的発声のマイナス面」などの課題に直面していると指摘しています。


『教育音楽 中学・高校版』においては、年に1回以上のペースで発声指導に関する特集が組まれており、現場の発声指導への関心の高さがうかがえます。

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