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薬剤師国家試験109-4解答解説

109-4

粉末 X 線回折パターンの横軸に
表されるパラメータはどれか。1つ選べ。

ただし、i は入射 X 線と 格子面群との
間の角度である。

1. 2θ
2. θ
3. θ/2
4. √θ
5. sinθ


X線回折は、X線が結晶構造の
原子によって散乱される現象です。

このとき、X線が原子に衝突してから
散乱される角度と強度を用いて
結晶構造を解析します。

この散乱される角度を「θ」と呼びます。
実際にX線回折パターンを測定する際には、
「2θ」という2倍の角度が使われます。

これは、X線が結晶面から反射される際に、
入射角と反射角が等しくなるためです。

つまり、入射X線がある角度「θ」で
結晶に当たり、同じ角度「θ」で
反射されるため、

最終的には「θ + θ = 2θ」となる
角度が観測されるわけです。

この「2θ」は、X線が結晶面に
与える影響と結晶面間の関係を
示しており、

結晶の構造を解析する際に
非常に重要なパラメータとなります。

したがって、選択肢の中で
正しい答えは1番の2θです。


+α解説

粉末X線回折パターンにおける縦軸は、
通常「強度」をプロットします。

この強度は、特定の2θ角度で
反射されたX線の量を示しています。

具体的には、X線のビームが試料に
当たった際に散乱されるX線の
強度が測定され、

それがどの程度の量であるかが
縦軸に記されます。

結晶構造内の原子や結晶面の
配置によって、X線は特定の角度で
強く反射されるため、

縦軸の強度が高くなる
ピークが現れます。これらのピークは、

結晶の構造や対称性、さらには
原子間の距離などを推定するのに
使われます。粉末X線回折法は、

これらのピークの位置(角度2θ)と強度を
解析することで、結晶多形などの
詳細な情報も得られます。

特に結晶多形を確認出来る分析法は
過去の薬剤師国家試験でも
問われているので覚えておきましょう。

結晶多形とは、同一の化学組成を
持ちながら結晶内での原子や分子の
配列が異なる結晶の事を指します。

結晶多形では密度や融点、溶解度などが
異なる為、これらを測定出来る
分析方法なら結晶多形を検出出来ます。

また、その他にも今回のような
X線を用いた解析や赤外吸収スペクトル、
固体NMRでも検出可能です。

結晶多形を確認出来る主な分析法を
下記にまとめて終わります。

赤外吸収スペクトル(IRスペクトル)
熱分析法
粉末X線回折法
X線結晶解析
融点測定法
溶解度測定法
密度測定法
固体NMR


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