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仲間ログ#238:一新星を逆から読んだと思った人もいた(1315/1000)
通算76回目のBookトライブで取り上げたのは「ボッコちゃん」。
懐かしぃ~という人も、去年ドラマで観たよという人もいるでしょう。
ではなぜ私たちは今読んだのか。
それはね、ブラッドベリが唱えた「クリエイティブになるには三種の読書を1000日続けよ」という教えを実践するために、私の周囲では時ならぬ星新一ミニブーム的なものが起きているから。
短編を読もう! と思ったときに、最上のもののひとつが星新一であるというわけ。
ワタシの星新一ファーストコンタクトは中学生のとき。
「マイ国家」に衝撃を受け、こんなに面白い小説があるのかと驚き、そこからはSF一直線でしたねえ。
高校の頃には全18巻の全集を毎月買っていたし(見出し写真にある「ボッコちゃん/ようこそ地球さん」はその記念すべき第1回配本)、もちろん全3巻函入りの「星新一 ショートショート1001]」だって買ったさ。そして今でもちゃんと持っている。
まだ星新一という名前がメジャーではなかったころ(というのは60年代後半くらいかな)、それは自身を「一新星」だと自負している新人作家が逆から読んでつけたペンネームなのでは? と言われたことがあるといいます。これ、昔の記憶だからほんとかどうか責任は持てませんが、ありそうでしょう?
星新一の活躍もあり、70年代の日本は、SFといえばショートショートという時代でもありました。
だから当時のSF作家は、得手不得手関係なくショートショートの執筆を要請され、その結果短編集もたくさん刊行されたのだね。
すると読者は1冊で多様な物語を体験することができ、センスオブワンダーというものが血肉になる、と。
「SFの黄金時代は?」
「今だ!」
とばかりに、高校生のころは星新一から始まって、筒井康隆小松左京豊田有恒眉村卓平井和正半村良光瀬龍広瀬正栗本薫山田正紀梶尾真司新井素子かんべむさし矢野徹ヨコジュンこと横田順彌田中光二石川英輔堀晃という作家たちをばりばり読んでいたなぁ。
と、そんな個人的な思いはさておき。
おや、会場にちょっと早めに着いたら知らない人たち、と一部知った人たちがいる。なにをしているのかな?
「今日は演劇部なんですよ~」とF木さんがいう。
なるほど、私でも知っている女優さんもいるじゃないか!
「これからなにがあるんですか?」
「読書会をちょっとばかり」
「なにを読むんですか?」
「『ボッコちゃん』を読もうかと」
なんて演劇部の方と話をしていたら、中の一人がおっしゃったのは。
「芝居の練習で朗読をすることがあるんですけど、星新一作品を読むことが多いんですよ」
ほう、それは何故?
「世界観はすでに共有されているし、エヌ氏などという名前の無個性な登場人物なので、演じる人がキャラクター付けしやすいんです」
なるほど。
ショートショートを自分で解釈することを、「圧縮されているものの解凍の仕方は様々」と表現していたのが印象的でした。
さすが演じる人!
演劇部の方々が帰るのと入れ替えに、メンバーが三々五々やってきます。
ビールを飲みワインを飲むうちに気分がよくなった私は、年下の友人たちに、70年代の日本SFはね、なんて昔話をひとくさり。
SF作家たちが原子力発電所に見学に行ったとき、案内してくれた発電所の人に「原子力さんはどちらにいるんですか?」なんて質問していたんだよ星新一は、とか、SFの黄金時代話とか。
と、昔のことはよ~く覚えているんだけど、最近のことは、ちょっと、ね。
なもんで、読書会のときのみなさんの発言はするりするりと抜け落ちています。ごめん。
あ、ひとつだけ思い出した。
星新一はセクシャルなものを意識的に書かなかったし、性差をことさら強調しない作風だから、女性も読みやすいのでは? と女性陣に聞いてみたら、そうでもないよねという返答多し。
え、どこが?
と聞いてみたら、なるほどご本人は意識していなかったであろうけれど、当時の社会の女性観がにじみ出ているのですね。
ワタシは自分が読んでいた当時の感覚を知っているので、まったく気づかなかった。
けど、今の目で読んでみると、たしかに女性の役割の固定化、社会的序列付けみたいな部分、かなりありますね。
自分の作品が風化しないようにと、星新一は出版後にも何度も手を入れていたと聞きますが、そうか、こういうところに蟻の一穴があるのか。
もうそれはしようがないことなのだけれど、作品の命を長らえることの困難さを改めて思い知りました。
そう考えると、千年を超える球を投げた、紫式部や清少納言の肩の強さたるや!
なんてことを思ったり思わなかったりしながら、会はお開きになりました。
![](https://assets.st-note.com/img/1676533240865-3IaGq9RwZf.jpg?width=800)
ひとつには自撮りが下手なこと、ひとつには酔いが回っていたこと。
その結果、皆さんと撮った写真はこのような。。。
![](https://assets.st-note.com/img/1676533228588-3OmnF3FF5D.jpg?width=800)
ではまた、来月~!
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