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机の片隅で#12:おかしなブリコラージュ(283/1000)

ブリコラージュ(Bricolage)は、レヴィ=ストロースが提唱した考え。
本来の用途とは無関係に、当座必要なものを用立てるといった意味合い。

道を歩いていて、今はなにに役立つのか分からないけれど、将来なにかに使えると考えて、落ちているものを拾うこと。
たしか内田樹さんはそういう風にも説明していた。
というか順番が逆ですね、内田さんの本を読んでそのような考えを知り、調べたのだった。

初めからこういう物にすると決めて作るのはエンジニアリング。
偶然手にしたもので必要なものを作るのがブリコラージュ。
と、そんな認識で生きていたらイギリス土産をいただきました。
ご近所のS藤さんご夫婦が2ヵ月くらい前でしょうか、遊びに行ってきたといって。(念のため、自粛要請の前でした)

ヘーゼルナッツ・サンドウィッチ・ビスケット。
しっかりと甘く、きっちりと焼き上げられたビスケット。
うん、これ美味しいね。もぐもぐ。
と良質な中身と同じくらい気になったのが箱。

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海外のお菓子には珍しく(と乏しい経験では思うのですよ)堅牢な箱入り。
この硬さとスムーズな出し入れと色味とがいいなあと思って。
今まさに捨てられようとしたところを救ったのでした。
「ちょっと待って。それにぴったりななにかがある気がする」と言って。

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幅65ミリ、深さ55ミリ、奥行き250ミリ。
なんだろうこのぴったり計算した感じ。
つまりこの容器はエンジニアリングの結果としてできたものでしょう。それをどのように転用するかは、持ち主である私のブリコラっぷりにかかっているというわけです。

旅行バッグのパッキング、クルマのトランクに荷物を積むとき、部屋のデッドスペースに物を入れるとき、私の空間把握能力と隙間に物を突っ込む能力が発揮されます。
うまいんだよ、パッキング。

昔、一ヵ月海外出張をしたことがあります。
成田に着いたらスーツケースが出てこない。調べたらどこかの空港にあるという。
係の人から、荷物が出てきたら家に送るけど、その前に中身をチェックしなければならない。だから鍵貸して。と言われました。
いやあのクソ重いスーツケースを持って帰らなくていいとはラッキー! とほぼ手ぶらで帰宅した翌日、電話がありました。
「あ、荷物のチェック終わりました。問題ありません。でも問題が生じました。中身をきちんと元通りに詰めることができません。申し訳ないけどはみ出した分は別の箱に入れて送っていいですか?」
もちろん。
どんな形であっても手元に送ってもらえればいいっすよ~。
後日、ぱんぱんのスーツケースと各地で買ったクリスマスCDがしこたま入った箱とが送られてきました。

とまあかように、空いたスペースにぴったりはまるものを見つけるのが上手なんです。
で、この素敵な箱には、「このスペースに収まるために生まれてきたんだ
よ、僕(あるいは私)」と思ってる何かがあるはず。きっとある。

ああ、あれだ。
Mini DVテープ。
デジタル化されても磁気記録媒体がまだテープだったころの規格。ちょうど子どもが小さい頃にできたものなので、これがまた山のようにあるわけです。
その辺に転がっているのを保管しなくちゃと思っていたんだ。
あれにおそらくぴったりだね。

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残念。
横に置くと高さはぴったりだけど、ムダな余白が生まれてしまう。
かといって縦に置けばはみ出す。
うーむ、これじゃないのか。

でも、家に今放置されているなにかの素晴らしいベッドになるんじゃないか。さあ、家の中を探してみよう。(本末転倒)

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