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偏愛食品#468:名前はナムワバナナ(1866/1000)

タイトルは、むぅわえと読んでいただきたい。
そう、これはサツマイモではなくバナナなんです。

そんなバナナ!
とお約束通りに驚いた。

S藤さんから沖縄みやげでいただいた、太く短くごろごろしたフォルムのバナナはナムワバナナというらしい。
なんでも日本で栽培している中で一番糖度が高く味も濃いのだとか。中には糖度30度超えのものもあるというからオドロキだ。
バナナの王様、キングオブバナナとも称されるそうで、これは食べるのが楽しみ楽しみ。

いただいた直後、よく見るバナナより黄色味が濃いなと思ったら、いやいやまだまだ追熟が必要だという話。

同封のパンフレットによると、追熟はいくつかの工程に分かれる。
①黄色くなり、皮が十分に軟らかくなると食べられる。
(皮が固い段階では実も固く、少し渋みがある)
②追熟を続けると皮の一部が黒くなって、酸味が減り甘みが増す。
③更に追熟すると皮が薄くなり、更に甘くなる。
④追熟を続けると皮のほとんどが黒く、もろく、切れやすくなる。
⑤更に追熟すると発酵が始まる。
(腐敗ではないので、食べても問題はない)

工程が分かれているといっても、結局は追熟を続けているだけで、それは皮の厚みと色で見分けることになる。
バナナは新聞紙にくるまれたままテーブルの上でごろごろしていたから、毎日そっと新聞紙をめくってはその追熟具合を観察していた。
真夏、湘南海岸片瀬西浜のボードウォークには、半裸(って書くといやらしい感じがするけど、上半身裸ってことですね)のおじさんたちがごろごろしており、中にはみごとに黒光りしている人たちがいるのだけれど、テーブルでごろごろしているナムワちゃんたちも、彼らのように日を追うごとに黒光りするようになっていった。

とはいっても慣れぬ追熟作業(日々見守るだけだけど)。
いつになったら食べごろなのか、もしかしたらもう発酵の道を歩み始めているのではないのか、なにもかもが五里霧中。まるでゴリラの夢の中、それはゴリ夢中。

まあ、いつまで待っててもしようがない、人間いつかは思い切るときが来るんだよ、と家人と意見が一致して、切ってみましたキングオブバナナ。

ボードウォークのおじさんたちよりも黒光りしているナムワの中に、こんな可憐な中身があったとは。

素焼きして黒焦げになった茄子の皮を剥くと、アチアチとなりつつ中から柔らかく白い茄子が出て来て嬉しいものです。なによりおいしいし。
そんな焼き茄子よりも、外見真っ黒中身真っ白度合が大きいナムワバナナ、さて、お味はどんなものなのだろう。

どうやら程よく熟していたようで、実はかなりねっとりしている。
普通のバナナの咀嚼を「もぐもぐ」だとすると、こちらは「もんぐもんぐ」といった感じ。
「も」で口を開けてバナナを入れ「ぐ」で歯で噛み切るのがバナナ。
ナムワの場合、口を開けてバナナを入れるところまでは同じだけれど、噛み切るまで、ナムワの抵抗が大きいせいで時間がかかるんですね。
そしてその間、旨味と香りが口の中全体に、もゎ~んと広がるので味わいが濃厚になる。
おお、いいぞいいぞ。
初めて食べたけど、何度でも食べたい味だ。
ナムワバナナ、何度でもお会いしましょう~!

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