見出し画像

続きのない話#6:空中七並べ(58/1000)

新しいトランプ遊びを思いついたよ! その名も空中七並べ!
いつでもどこでも遊べる七並べ。

それは遊び疲れて帰る特急電車の中。
朝から洞窟に行ったり川で泳いだり泳いでる人を見守ったり、炭火で鮎やさざえを焼きながらビールをぐいぐい飲んだり伊勢うどんを食べたり。
たくさん遊んだね、でも眠っちゃうほどくたくたでもなく、ボックスシートで3人ぼんやり座っていたときのこと。

「とりあえず、なにかして遊ぼうか」
「トランプでもしますか」
「いいねいいね」
「でもちょっと問題があるんです」
「トランプ、誰も持ってません!」

でも、それくらいであきらめないのがオトナの知恵。
「じゃあとりあえず、口でやろう!」
「ババ抜きも神経衰弱も大貧民もムリですよねー」
(声を揃えて)
「七並べがあるじゃないか!」
つまり、想像上のトランプを使って、頭の中で七並べをするわけです。

では、始めてみましょう。
カードを配っ(たフリをし)て、それぞれカードを手に広げ(たつもりになっ)て、まず7を出して並べます(想像のカードを空中に)。
「ダイヤの7」
「ハートと、おっ、クラブもあった」
「じゃあスペードの7を出します」

ジャンケンをして、勝った人から時計回りにカードを出すことに。
「ダイヤの6」
「クローバーの8」
「ちょっと待ってください、クラブかクローバーか統一してください」
「じゃ、クラブで」
「ハートの6」
初めてやってみたけど、らくらく続きます。

と思ったのもつかの間。
3巡目くらいから、なにが場に出ているのかうろ覚えになってしまうんですよ。なにしろカードはそれぞれのアタマの中にしかないから。
これを読んでるあなた、そんなわけないじゃん、もっと続くでしょう普通。と思ってると思います。
実際なにげなく始めた我々も、きっとあっという間にAからKまで全部そろって終わるだろうなと思っていましたから。

でもね。
たった10枚ほど(想像上のカードを)出しただけで、もうわからない。
とりあえず審判は自分以外ということにして
「ハートの4」
「いやまだ5が出ていないのでは?」
「まだ、ですね」
「ああ。。。」
となるわけです。

無聊を慰めるために何の気なしに始めてみたら、存外面白い。
「7は初めから置いてある設定で」
「まだそこまでのレベルに達していないことがわかったから、ジョーカーは無しで」
「スーツは上からスペード、クラブ、ハート、ダイヤと並べよう(頭の中で)」
「前の人が出したものと同じスーツは出せない(ダイヤの8が出たあと、次の人は続けてダイヤの9も、7より下のダイヤも出せない)」
「普通の七並べと同じように、自分が勝つように(相手が不利になるように)カードを置いていこう」
と、どんどん設定が決まっていきます。

では、と改めて始めてもせいぜい4順くらいで止まってしまう。
「こんなに記憶力ってないものか」
「悲しい」
「くそぅ」
残念がったり悔しがったり。
何度やってもコンプリートしません。
この時点ですでに40分経過。

「じゃあ練習のため、黒いスーツだけでやってみよう。スペードとクラブ縛りで」
「スペードの6」
「クラブの8」
「スペードの8」
「クラブの9」
おお、どんどん続きます。
さすがにこれはなんとかなりました。

「さ、気を取り直してハートとダイヤも加えてやってみよう」

「だ、だめだ。。。」
「もう、ムリ」

悲しいことに一度もコンプリートしないまま小一時間が過ぎ、電車を乗り換えることになりました。
乗り換えた後は「関連しりとり」を始めたので、空中七並べはこれにて終了。
でも、ほんの思いつきでやってみたら十分に面白かったので、みなさんにも試してみて欲しいなあ。そして改良点を提案していただきたく。
今後ルールが整備されていけば、将来的に「空中七並べワールドカップ」もできる、のではないかな。(そうでもないかな)

【空中七並べ:やりかた】
◇人数:3人~4人(5人以上だと混乱するだけ、だと思う)
◇場所:電車のボックスシート(渋滞中のクルマの中も悪くないけど、ドライバーの集中力を著しく損なうので、注意が必要)
◇用意するもの:なし(口と記憶力さえあればなにもいらない)
◇ルール:基本はトランプを使った七並べと同じ
・7はあらかじめ全スーツとも場に出ているものとする
・順番に場に出ている数字に隣接する数字のカードを出す(口で言う)
・前の人と同じスーツは出せない(出したらお手付き)
・お手付き(すでに出ているカードと同じものを出す、出ていないカードの次のカードを出す)した場合、その人以外の参加者が審判となり、それぞれの記憶をもとに判断する
・お手付きが確定したら、その人の負けとなり、ゲームは終了する
・ジョーカーは使わない


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?