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続きのない話#200:豪華絢爛豪奢ゴージャスな世界がありまして(671/1000)

夢の世界へと誘う3つの入り口を前にして佇んでいたら。
「どこからご覧いただいてもいいですよ」と係のおねえさんが囁く。

姐さん(ニックネームです。「係のおねえさん」とは別人だよ)が素晴らしい展覧会があるよと教えてくれた。

「『約束のネバーランド』の原作&作画の2人に、CHANELがテーマも含め自由に創作を依頼した作品の展示。
真っ直ぐで強いメッセージに、泣きそうになってしまいました。漫画とイラストと、シャネルそのものの展示物の組み合わせ方も素晴らしく、展示構成の妙を堪能しました。入口でNo.5の小さなサンプルをプレゼントされるのですが、展示を見終わるとこれが手の中にあることが、特別になる。」

勝手に引用してごめんね姐さん、なんですが、どうですかこの文章。これ読んじゃったら行くしかないでしょう!

これまでの人生で最もシャネルに近づいたのはランナウェイの時ですが、あれは複数形だったしなあ。
なんてふざけたことは言わずに(言っちゃったけど)マジメに言って、シャネルとはまったく接点のない人生を歩んできました。あれはきっとどこか別の世界の話。
でもね、素敵なオススメを読んだ以上、意を決して観に行くよ。遠い世界へ。(でも一人で行くのは心細いので、Y儀さんという援軍に駆けつけてもらった)

さて、それはどういうものか、カードをご覧ください。

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「MIROIRS(ミロワール)」MANGA MEETS CHANEL

裏には次のような内容紹介が。
「約束のネバーランド」の原作者・白井カイウ&作画家・出水ぽすかと、シャネルの協業による展覧会。ブランドの歴史からインスピレーションを受けて描き下ろされたマンガ作品をもとに、ストーリーに込められたメッセージやシャネルの貴重な資料が立体的に表現され、作者たちとシャネルとの時代を越えた出会いを追体験することができます。

事前にウェブから予約をしてホールの中へ。
入り口でかわいらしいシャネルNo5 オードゥ パルファムをいただきます。

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おお、これがサンプルですね。それにしてもなんというしっかりした作りであることか。
「ものすごくホンキです!」という気持ちというかオーラがにじみでている。神は細部に宿るといいますからね、この先の展示への期待はいや増すばかり。

ほの暗い通路を抜けると3つの入り口が。
「右から1番、2番、3番となっておりますが、どこからご覧いただいても」と言われましたが「やっぱり1番からだよねえ」とまずは右手に向かいます。

と、その前にお姉さんに確認しておこう。
「写真撮ってもいいですか?」
「はい、すべてどちらを撮っていただいてもいいですよ」
「天井も?」
「(苦笑)はい、お好みでしたら」
すみません、余計なことを言いました。

「SNSに掲載してもだいじょうぶですか?」
「ええ、もちろん」

なんという度量の広さ。
自分たちが作ったものはなにがあっても揺るがないという自信があるんだろうなあ。さすがです。

最初の入り口にはこういうタイトルがありました。

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「魔女」
隣にある漫画は「本は大好き」「世界がそこに詰まっている」というネームから始まります。
本好きの少女が魔女? なわけはないよねえ、、、たぶん。
展示は漫画のページが拡大され、さらに壁に直接描かれたという(!)絵が驚くほどたくさんあり、迫力たっぷり。
合間合間にはシャネルにちなむもの、ガブリエル・シャネルの写真や絵などが絶妙の間合いで飾られている。
それらを歩きながら近づいたり離れたりして読み解いていく、この身体を伴う読解がことのほか楽しい。
ゆっくり歩いたり、ちょっと戻ったり、絵に近づいたり、斜めから観たり。

ちなみに展示中、私がいちばん素敵だと思ったのは、マン レイが撮ったこの写真。

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神々しいほどかっこいい。

Uの字形に展示を見て回ると見開きでど~んと迫力ある絵が描かれている。

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原作者と作画家がシャネルを取材して、そこから発想したテーマが広がる世界は美しく、どきどきしながら歩を進めます。

2つ目は「嘘つき」、3つ目は「カラス」。
創業者ガブリエル・シャネルの人生と哲学、創作者たちがインスパイアされた物語が渾然一体となって3つの部屋を覆っている。
シャネルを作った意図、さまざまなものを作る意味、それを咀嚼してさらに白井さんと出水さんたちの思いも込めて作られた空間は圧倒的。
目に映るものすべてから強いメッセージが感じられます。

すべてを観終わって思わず言いました。
「もう一度最初から観ない?」
「私もそう思ってました!」
そうでしょうそうでしょう。
全体を把握してからそれを構成する細部を吟味すると、さらに味わい深くなるもんね。
また、こうして自由に行き来して鑑賞できるのも素晴らしポイントです。

もちろん「嘘つき」も「カラス」も写真を撮ったけど、部分だけご覧になってもたぶん伝わらないと思うので、ここには載せない。
いえ、これはいじわるではなくて、親切というものです。だって予見なく味わったほうがぜったい楽しいから。

6月6日まで開催しているので、ぜひ事前予約をして行ってみて欲しいな。
https://chanelnexushall.jp/program/2021/manga/
(予約制だから混んでいませんよ~。ご安心を)

この展示と同時に、展示の話が収録されている同タイトルのコミックも刊行されています。

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展覧会に行ってから読むと、物語の全体像がきっちりわかってナルホド~となります。
これが展覧会の内容をぐい~んと強烈に思い出させるんですよね。ストーリーもさることながら、その印刷が凄いよ。
白黒ページとカラーページが混在している! 表紙には箔押し! うーん、なんという贅沢な作り。
でも、テーマを考えると、こうせずにはいられないという意志の表れなんでしょうね。製作に係った人たちに尊敬の念!

でも最初にコミックで予習しないほうがいいと思うな。
展示を自分なりの解釈で味わってから読むと、作者たちの意図と(たぶん)微妙なずれがあることに気づき、それが自分なりの味になるから。
ただ逆に、展覧会に行ったらコミックで余韻を味わうのはマストだと思います。三次元と二次元の相乗効果を愉しめるし、いつまでもそれを思い出せるようになるし。

会場で展示の最後にはこういうメッセージがありました。

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徹頭徹尾全力入魂。
いやあすばらしいものを観ました。
堪能堪能。
眼福眼福。

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教えてくれた姐さん、お供をしてくれたY儀さん、どうもありがとう~!(それにしても驚愕の額のかずかず!)

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